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テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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 提督の外出の件を皆に伝えてから十分後、私達は執務室の前に到着した。そういえばこのドア、まだ天龍さんが入れたヒビが入ってるんだなぁ……一体いつになったら修理するんだろう……

「とんとん。提督。まだいらっしゃいますか?」
「いるよー」
「提督外出の件、みんなへの告知が終わりましたよ」
「了解〜。いいから入っちゃって」
「承知しました」

 別に入る用事があるわけでは無いが……入れと言われたのなら、入るしかなかろう。ドアノブを握り、ひねる。

――なぁ……お前、今日は……何時に帰ってくる……?

 なんだか天龍さん(既婚)からは一生聞くことが出来ないであろう発言が聞こえてきた気がした。これは私というよりも……

「キャァァァ……」

 今、私の肩の上で真っ赤な顔をして照れてもじもじしている天龍二世さん(既婚)に対して言っているのだろう。しかし驚きだ。私はてっきり天龍さんの方が夫だと思っていたから……まぁ天龍さんは荒々しい外見に反して、意外と女性らしい、柔らかい部分もあるしね。

 ドアを開き、執務室に入る。

「あ、赤城さん」
「ぉお、アカギ……」

 ……う。電さんと集積地さんだ。がっちり手を繋いで、二人で並んで提督の机の前に立っている。

「あ、ああ、電さんと集積地さんも……いらっしゃったんですね」
「ああ。ちょっと提督に報告すべきことが出来てな」
「司令官さんが外出する前に報告しようと思って、急いで来たのです!」

 さっきの光景が私の頭をかすめる……まさかこの二人……

「提督」

 私は提督と目を合わせたが、提督の眼差しは、いつもの死んだ魚の眼差しだった。でも、彼の思考がほんの少し、漏れ出ていた。

――俺に質問するな

 提督の眼差しは、小さな声で私にそっと、そう語りかけていた。……仕方ない。意を決し、私は本人たちに問いただしてみることにする。

「へ、へぇ……で、その、報告したいこととは……」
「「結婚したんだ!!」のです!!」

 ああ……やはり……聞き間違い……ではないですよね……?

「え、えと……すみません……念のため……どなたと、どなたがですか?」
「私たちがだ!」「電たちがなのです!」
「……」

 ……集積地さん……あなたは……あなただけは常識人だと思ってましたが……

「提督、よろしいんですか?」
「何が?」
「この鎮守府の貴重な戦力が……」
「まぁ……仲悪いよりは、いいんじゃない?」

 うわー……こらまた投げやりな返答……なんか額の右側あたりが斜線で暗くなってるから、もう対処方法がまったく思い浮かばなくて、とりあえず実害がなければ認めていくスタイルに切り替えたようだ。私は少しだけ、提督に対し同情の気持ちを抱いた。


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