暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
音と共に、時が止まった。ケッコン指輪は提督の手の中から、いつの間にか、砲台子鬼さんの砲塔へと、居場所を移していた。

「あら……」
「なのですッ!?」
「馬鹿なッ!?」
「ちょ……提督……!?」
「へ……?」

 なんということ……最近はずっと砲台子鬼さんに文房具を預けていた提督。そのため、提督は今回もつい、砲台さんの砲塔に、指輪を流し入れようとしてしまったようだ。そしてその結果、指輪はすっぽりと、砲台さんの砲塔に通されてしまった。

「えと……提督?」
「お、おお?」
「何か、あったのでしょうか?」
「えと……えーと……ね……」

 この事態の把握がいまだ出来ず、大淀さんが不思議そうなきょとんとした眼差しで、提督に質問する。そしてそれに対し提督は、しどろもどろになって冷や汗をだらだらと流しながら、必死に言葉を選んでいる。

 ……言えない。提督の立場としてはもちろん、私達も、大淀さんに対し、状況の説明をすることは不可能だ……これを話してしまえば、大淀さんが不憫過ぎる。つい誤って、大切な結婚指輪を砲台子鬼さんに進呈するという愚行をしでかした、このアホ提督は置いておいて……

「あの……赤城さん」
「は、はい!?」
「何かあったんですか?」
「あ、あのー……えーと……」
「電さん?」
「え、えと……えっと……」
「集積地さん?」
「あ、あばばばばば……」

 大淀さんは提督だけでなく、私や電さんにも質問を投げかけるが、私たちが答えられるわけがない。私達は、大淀さんがこの二週間、ケッコンに向けて練度を上げるために、どれだけ努力をしてきたかを間近で見ている。彼女が、どれだけこの日を夢見ていたのかを知っている。

 そんな私達が、『あなたの結婚指輪が今、砲台子鬼さんの砲塔に通されました。あのアホのせいで』などと、どうして言えようか……言えるわけがない……

 そうして私達が大淀さんの問に対し四苦八苦していると、指輪を通された当の本人の砲台子鬼さんの身体に、異変が起こった。

『……!!!』
「ほ、砲台さん!?」
「砲台さんが……!?」
「ま、眩しいのです!!」

 私は、実際にケッコンカッコカリ成立の瞬間を、この目で見たことはない。だが、ケッコンカッコカリ特殊事例の紹介という資料(著者:青葉さん)に目を通したことがある。

 特に憶えているのは、異世界からきた少年と、金剛型の比叡さんの事例だ。異世界に渡った比叡さんや、その異世界から来訪した少年……その特異な2人の関係も目を引いた、とても特殊な事例だったのだが……

 そのケースでは……戦闘中、大破炎上していた比叡さんに少年が指輪を渡すことで、比叡さんの傷が全快。補給も済ませ全力を出せるようになった比叡さんの活躍によって、艦隊は無事
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ