ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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の」
「……あれは単なる稽古です」
「見届け人を努めてくれた戦艦棲姫が『あいつら頭おかしい』って言ってたぞ?」
「あの人には言われたくないですよ……」
うん。いつもの調子が戻ってきた。こうやって軽口を叩けるまでになったのなら、もう心配することはないだろう。私の胸にホッと安心が訪れる。
――そしてやりましたねぇぇえ両思いですよ大淀さぁぁぁあああん!!!
同時に心の奥底から湧き上がるこの雄叫びを、私は精一杯我慢した。
「んっく……クッ……ツォッ……」
「さっきから何をやっとるの?」
「いえ……自分の忍耐力テストを……クオッ……」
「赤城さんがなんだかおかしいのです……」
何とでも言ってください……。時計を見る。提督が外出する時間まで、あともう10分もない。そして、それは同時に、我らが大淀さんの人生が決定するまで、あと10分ということである。
「提督。そろそろ……ぁあ、みなさんお揃いだったんですか」
タイミングよくドアが開き、大淀さんが姿を見せた。時間が迫ってきたので、きっと提督を迎えに来たんだろう。提督が、机の上の指輪を慌てて左手の平の中に隠したのが見えた。その手はちょうど、砲台子鬼さんのすぐそばの位置にある……
「大淀さん」
「? はい?」
「これから外出ですね」
「ええ。帰りは夜になる予定です」
「気をつけて行ってきて欲しいのです!」
「ええ」
「がんばれオオヨド!」
「は、はぁ……まぁいつものことですし……?」
「そうですよ! でも今日は、特に頑張ってきてください!!」
『なんせあなたのケッコン記念日ですからねぇぇええええええ!!!』という暴言は口に出せず……
「はぁ。……提督?」
「ほいほい?」
「準備は出来ましたか?」
「うん。ちょっと待ってて」
大淀さんに促された提督は、右手の手の平を開き、机に手をついて立ち上がる。そして左手は……最近の習慣になりつつあったのだろうか。自然と砲台子鬼さんの砲塔へと伸びていた。
「んじゃ砲台子鬼。行ってくるよ」
ここで、私は注意を促すべきだった。
たとえ同じ空間に大淀さんがいたとしても、私が汚れ役を蒙り、提督に進言するべきだった。『あなたが持つ指輪は、大淀さんに渡す大切な指輪なんですよ!!!』そう、叫べばよかった。
最近はいつも、文房具を砲台子鬼さんの砲塔に入れてしまっていた提督。
常に砲台子鬼さんと意思疎通をし、時にはその砲塔を優しくなでて、彼と友情を深めていた提督。
その彼が、指輪を持った手でその砲台に触れた時、どういう結果が待ち受けているか……少し考えれば、わかることだった。
「あ……」
「え……」
「……?」
『……!?』
カランという
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