ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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ているのが、私から見てもよく分かる。
集積地さんを見た。彼女もまた、電さんの優しさに救われた一人。その彼女にも、きっと伝わっているはずだ。電さんと提督の、互いを認め合う関係が。上官と部下の関係ではなく、親子とも友人とも恋人とも家族とも違う、でも互いを認め助け合う、優しく暖かな、二人の特別な関係が。
電さんが、提督の首にまわしていた腕を解いた。どちらからともなく離れた二人の顔は、いつものように晴れやかで、提督の目はいつものように死んでいた。
「そっか……ありがとう電。やっぱ電は、俺のヒーローだな」
「そんな司令官さんも、電のヒーローなのです」
でも、いつもよりもほんの少しハイライトが入ったその眼差しは、ほんの少しだけ、力強くなっていた。
「提督」
「お?」
「私がこの鎮守府を去るときに言った一言、覚えてるか?」
集積地さんが、以前に提督に問いただした質問を、もう一度ここで改めて問いただした。でも、あの時のようなニヤニヤ顔と共にではない。電さんの前でよく見せる、優しくて、相手のことを精一杯気遣う、とても柔らかい眼差しだ。集積地さんも、提督には何か思うところがあったようだ。
「……『お前もそろそろ真面目に身の振りを考えた方がいいんじゃないか?』って言ってたよね」
「そうだ」
以前はしらばっくれていたが、提督はちゃんと覚えてたらしい。
「……それが答えだ。お前が今まで、どれだけあくどい事をやってきたのかは知らん」
「……」
「でもな。そんなお前を、オオヨドは待っている。イナズマと一緒に、誰よりもお前のそばで、誰よりも長くお前を見ていたオオヨドの答えだ。自信を持って、渡してもいいはずだ」
「……」
「……ま、知らんけどな」
優しい微笑みで提督を元気付けたあとは、ニヤニヤといやらしい笑みで、無責任発言を付け加えるのを忘れない。いかにもこの鎮守府のメンバーらしい、激励の仕方だ。
電さんと集積地さん……この二人は、本当にこの鎮守府になくてはならない存在なんだなぁと改めて実感した。
二人の激励を受けた提督は、フッと微笑んだ後、いつもの死んだ魚の目に戻って自分の席に戻った。そして、その手に握りしめていた指輪を机の上に置き、まじまじと見つめながら口を開く。さっきまでの重く弱々しい言葉ではなく、いつもの、飄々として、何を考えているのかわからない、いつもの無責任な提督の声だった。
「……そうだな。それに、赤城やロドニーにプロポーズするわけじゃない。痛い思いをするわけじゃないんだし、肩の力を抜いて行ってみようか」
うん。その意気です。でもなぜ私やロドニーさん相手のプロポーズは痛い思いがセットなんですか?
「……だってお前さんたち、この前ハデな告白合戦してたじゃない
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