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テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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の二人には伝えてあると言ったのは……」
「……ウソ。大淀に余計な心配かけたくなかったから」
「あれ……私、鳳翔さんに皆さんの晩ごはんはいらないって言っちゃいましたよ」
「そっか……んじゃそれはあとで俺が謝っとく」
「では、今晩は……?」

 提督は今日、一世一代の勝負に打って出るつもりであることを、私は悟った。

 ……でも。

「なぁ……赤城? 電? 集積地?」
「どうした?」
「はい?」
「なのです?」

 指輪をじっと眺める提督は、同じく提督の手の中の指輪に釘付けの私たちに問いかけた。その声は、今まで聞いたこと無いほど弱々しく、そして自信の感じられない、か細い声だった。

「俺は……おっさんだ」
「ですね」
「そして目が死んでる」
「その通りなのです」
「おまけに覇気がない」
「よく分かってるじゃないか提督」
「こんな俺が……指輪を渡して、大淀は喜んでくれるのかなぁ……?」

 あなた、自分が大淀さんに慕われてることに気付いてないんですか!? という叫びが喉まででかかったが、それはなんとかこらえた。一航戦として。

「っく……んーッ……っく!!」
「?」
「赤城さん? どうしたのです?」
「ツァッ……ハァッ……あ、危うく余計なことを口走ってしまいそうに……」
「?」

 私が喉から飛び出そうな言葉を我慢する様を、不思議そうに眺める提督。彼は自分が指輪を渡すことに、及び腰になっているようだ。

 私達は、大淀さんの気持ちを知っている。だから、提督が指輪を渡せば、大淀さんがきっと喜ぶことを、私たちは知っている。だから、早く彼女に渡して、安心させてあげてくれと思う。

 でも提督は、大淀さんの気持ちを知らない。それに彼の悩みは、私達が想っている以上に、深刻なようだった。

「俺さ……今まで、さんっざん人のことを蹴落としてきたのよ」
「……」
「自分が出世するためにさ。出来ることは何でもやったよ。おえらいさんの悪事の隠蔽や、ライバルのスキャンダルの捏造……社内政治に勝つためなら何でもやったのよ」
「……」
「今もさ。お前らを守るためなら、どんなことでもやるつもりだよ? クソ中将だって追い詰めて黙らせるし……上層部がお前らの邪魔をするなら、捏造してでも弱みを握って黙らせる。それが俺の戦いだと思ってるし、事実、ずっとそうやってきた」
「……提督……」
「言ってみれば、俺は下らない政治屋なんですよ。今でこそ深海棲艦たちとの交渉のパイプ役なんて大役を仰せつかってるけど……本質は、大勢の人間を泣かせ苦しめてきた、小悪党のゆすり屋なんですよ」
「そんなことは……」
「こんな俺が指輪を渡して……大淀は喜んでくれるのかな……?」
「……」
「こんなおっさんの小悪党に……大淀に指輪
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