ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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の晩御飯が準備されてなかったため、とてもひもじい思いをしたようだ。
「お二人共」
「うう……ぁあ、アカギ、どうした?」
「ああ……背中とおなかがくっつきそうだ……」
「えーと……鳳翔さんにお二人のご飯はいらないとお伝えしたのは私です」
「聞いている」
「いくら提督の指示とはいえ、すみませんでした」
発端は提督の嘘なのだが……鳳翔さんにその旨を伝えたのは私だ。責任はないのかもしれないが、やはり二人には謝っておかないと気分が悪い。私は机の上で青白い顔でげっそりとやせ細り、まるでエジプトのクフ王のミイラのようになっているお二人に、事の次第を説明して頭を下げた。
しかし、そう二人はすでに事情を知っていたらしく、戦艦棲姫さん似のミイラが私にニッと笑顔を見せ、こう元気づけてくれた。
「いいさ。確かにひもじい思いをしているのは事実だが……お前に責任はない」
「ですが……」
「それ以上無駄に謝るのなら、明日に私とロドニーの二人がかりでの稽古に付き合ってもらうぞ」
……それはちょっと楽しみだが……二人の顔を見ると、ミイラの状態でありながら、実に清々しい笑顔で私を見つめてくれている。二人共、気持ちのいい性格でよかった。
「……分かりました。タイマン勝負でしたら、お受けします」
「それは本気にするな。ロドニーはどうあれ、私はあんな稽古はやりたくないっ」
「そうですか? でもあの時の横槍のお返しもしたいですし……」
「それは返礼じゃなく意趣返しだろう……」
戦艦棲姫さんによく似たミイラはそう答え、再びテーブルに突っ伏していた。一方のロドニーさんによく似たミイラの方も、すでにへろへろしおしおになっている身体で机に突っ伏して、へぇへぇと力のない浅い呼吸を繰り返している。よほどお腹が空いているようだ。
「戦艦棲姫さん! ロドニーさん!! もうちょっとでできますから!!」
「うう……早く頼むホウショウ……」
「おなかすいたー……このままではランスはおろか剣ももてーん……」
「私も砲撃ができーん……このままでは身体が駆逐イ級になっちゃうー……」
「あなたたち……それでも、泣く子も黙るビッグセブンと姫クラスですか……」
提督の嘘へのお詫びを兼ねて……ということで、鳳翔さんが大急ぎで何か特別料理を作ってくれているそうだ。私もあとでつまみ食いをさせてもらおうか。
こうして、ケッコン指輪をめぐる騒動は、一応の沈静化を見た。あとは、提督と大淀さんがどうなったのか……うまく行ってるといいな……あの二人……。
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