ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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砲塔の角度を少し下げた。水平よりも若干下に下げている。提督が去ったことは、砲台子鬼さんにとって、少しショックだったらしい。
この時、私は改めて、電さんの優しさに感心した。
私たちはこの時、全員が大淀さんのことばかり考えていて、アクシデントで指輪を渡されてしまった側……砲台子鬼さんの気持ちをまったく考えてなかった。
砲台子鬼さんの性別がどっちかは私は知らないが、先程の様子を見る限り、二人はケッコンカッコカリが成立したと見ていい。……つまり、二人は信頼しあってるということだ。
この二週間の間、二人がどれだけ濃厚な時間を過ごしてきたのか、それはわからない。でも少なくとも二人は、ケッコンカッコカリが成立してしまうほど、この短い時間の間に親交を深め、その結果、互いに信頼できる良きパートナーとなり得たのだろう。それは、提督の事務仕事の呼吸に合わせて、砲台子鬼さんが提督に文房具をぽんぽん撃ち出していたことからもわかる。
言葉を交さず、提督の呼吸に合わせて、文房具を撃ちだす。……それだけ、提督のことをよく見てるということだ。それだけ、提督のことを思っているということだ。
それだけ大切に思っている人から指輪を渡され、しかもそれが事故だったと知ったら……本人はどう思うだろう。砲台子鬼さんは、自分が愛した男性が他の女性を追って、自分に背を向けて離れていく様を、どんな気持ちで見ていたのだろう……?
「無責任な司令官さんに代わって、電が謝るのです。ごめんなさいなのです」
『……』
電さんは優しくて柔らかな表情を浮かべてそう言いながら、砲台子鬼さんの砲塔を優しく丁寧に撫でていた。そして次第にその手は砲台子鬼さんの頭へと移動し、ついに両手で砲台子鬼さんの頭を優しく抱きしめていた。
「でも、司令官さんは、砲台子鬼さんのことも大好きなのです」
『……』
「見てればわかるのです。砲台さんを見る司令官さんの目は……死んでるのですけど、とっても優しいのです」
『……』
「ただ……司令官さんは、大淀さんも大切だっただけなのです」
『……』
その様子を見ながら……私は、大淀さんばかりに気が行ってしまい、もう一人の、提督を愛する人物への配慮が足りなかったことを、少し恥ずかしく感じた。
その後、泣きながら出て行った大淀さんと提督がどこに行ったのかは、私たちは知らない。ただ、二人はその夜、ついに私達が寝静まるまで、帰ってくることはなかった。
……ぁあそうそう、晩御飯の時に……
「はぁ……おなかすいたなぁ……」
「うう……どうして私達の分のご飯が……なかったんだろう……」
『いつもの外出に見せかけて、大淀さんを安心させるため』の提督の嘘の犠牲者といえる、戦艦棲姫さんとロドニーさんは、自分たち
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