ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4.提督の苦悩。そして災難
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……電さんと集積地さんの、顔を見る。
「ん? どうしたんだ?」「どうしたのです?」(キラキラ……)
うーん……眩しく輝く二人の笑顔……これはもう、諌めることは出来ない……
……あ、そういえば。
「提督」
「んー?」
「青葉さんに提督の外出の件を報告したときに思ったのですが」
「うん」
「外出の件で、何か隠してませんか?」
「……」
青葉さんに報告した時に感じた違和感。これが先程から頭の片隅にこびりついて気持ちが悪い。これが別に大したことでなければ提督もしれっと何かを白状するだろうし、何か重大な隠し事があるのなら、しれっと『特にないよ?』というだろう。事実がどうなのかは置いておいて、提督に確認をとってしまえば、私自身はとてもスッキリする。
私の問いを受けた提督は、少しだけうつむき、帽子を深くかぶり直した。そして、ふうっとため息を付いた後、私や電さん(既婚)、集積地さん(既婚)や天龍二世さん(既婚)を、様子を伺うように上目遣いで見つめてくる。なんだこの『突っ込んで下さい』と言わんばかりの反応は……
「えーと……提督」
「……」
「どうかしたんですか?」
提督の眼差しが妙に鋭くなった。その目は私たちではなく、周囲の様子を伺うようにキョロキョロと部屋の中を探ったあと……
「青葉は……いないな」
天井を見上げ、青葉さんがいないことを確認していた。
「お前ら……」
「はい?」
「どうした提督?」
「司令官さん?」
「誰にもいうなよ? 特に青葉」
「は、はい……」
「了解なのです……ゴクリ」
神妙な面持ちをした提督が、机の引き出しを開く。引き出しの中から取り出したのは……
「……ケッコン指輪なのです」
そう。見覚えのある、小さなワイン色の小箱。中を開けようとして、ロドニーさんに叱責された、提督が大淀さんの左手につけてあげるべき、永遠の愛を誓う、契の証だ。
「外出はする。でも、それは仕事だからじゃないのよ」
「……まさか……提督」
「ひょっとして……」
「……」
「司令官さん……!」
提督は、いつになく真剣な面持ちで、指輪の小箱を手に取った。隙間から青薄い光がこぼれるそのケースを、提督は静かに、ゆっくりと開く。小箱の中から出てきた指輪は、提督の手の中で、美しいプラチナ色の輝きを放ちはじめた。
「こ、これが……」
「け、ケッコン指輪……なのです……?」
その輝きは、優しく、そして温度を感じるほどに温かい。その輝きは、提督の机の上で静かに沈黙していた砲台子鬼さんすら、スッと姿勢を正し、そして砲台の角度を下げるほどに美しく、そして眩しい。
「……ロドニーと戦艦棲姫は、今日は随伴しない」
「……じゃあ提督、そ
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