ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3.魅惑のプロポーズ
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をなんとか記憶の片隅に追いやりたくて、私は提督から賜った『外出の件を皆に知らせる』という任務に没頭することにした。
「コワイカー」
「ああ、天龍二世さんも一緒に行きますか?」
「キャッキャッ」
「んじゃ行きましょっか」
いつの間にか私の足にまとわりついていた天龍二世さん(既婚)を肩に乗せ、私は自身の任務遂行のために食堂をあとにした。さっきの光景を早く無かったことにしたいという気持ちもある。
提督の外出を皆に知らせるといっても、護衛の二人はすでに知ってるだろうし。あとは演習場にいる球磨さんと天龍さん(既婚)、自室で機材の手入れに余念のない青葉さんぐらいだ。私と天龍二世さん(既婚)は、順番に提督お出かけのお知らせを伝えていった。
……ぁあそうそう。青葉さんに提督の件を伝えたとき、妙なことを言っていた。
――そうなんですか? ……ぁあーそういえばさっき執務室でそんなこと言ってましたね。
一見すれば、なんてことないいつもの青葉さんのセリフなのだが……
『そういえばさっき言ってましたね』という部分は問題ない。彼女はよく、執務室の天井裏で、提督の監視を私的な理由で行っている。ここに疑問を感じることはない。
私が疑問を感じるのは、『そうなんですか?』の部分だ。
これは、常日頃天井裏で提督の監視を日課としている青葉さんが、今日の提督の外出は把握していなかったということを表している。ずっと提督を監視している青葉さんが、今回の外出の件を都合よく把握出来てなかっというのは、考えにくい。
つまり、提督は意図的に、今日の外出の件を隠していたということになる。これが一体何を意味しているのか、皆目見当もつかないが……。
……まぁいい。私と天龍二世さん(既婚)は、提督からの重大任務を完遂した。あとは任務完遂の旨を提督に報告すればすべて終わりだ。
「じゃあ天龍二世さん。提督に報告しに行きますか」
「コワイカー!」
「怖くないですよ」
私は天龍二世さん(既婚)を肩に乗せたまま、のんびりと執務室へと向かう。後に外出が控えている提督と大淀さん。のんびり向かうと、ひょっとすると間に合わないかもしれないのだが……
「まぁ別にいいでしょ。知りませんけど」
いつの間にか伝染していた提督の口癖が口をついて出た。まさか自分がこんな無責任な言葉を発してしまうとは思ってもなかったが……そもそもこれは提督が悪い。いつもいつもこの言葉で私たちを翻弄して……思い出したらむかっ腹が立ってきた。今晩は鳳翔さんにお願いしてやけ食いだ。鎮守府の運営を傾けてやる。
さて、執務室に向かいましょうか。
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