暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3.魅惑のプロポーズ
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射出されたボールペンと付箋を受け取り、自分の席に座って付箋に何かをメモっていた。その後その付箋をなれた手つきでめくり取ると、自身のバインダーにペタンと貼り付けた後、提督にボールペンと付箋の残りを手渡ししている。

「提督」
「んー」

 提督はそのボールペンと付箋を受け取ると……

「……」
『……』(すぽんすぽん)

 非常に慣れた手つきで、ボールペンと付箋を砲台子鬼さんの砲台の中に流し入れていた。

 ……砲台子鬼さんって、便利な文房具収納器具なのか? そういう方ではないはずなんだけど……。

「ところで提督」
「んー? どしたー大淀」
「今日の外出ですが……」
「護衛の二人には伝えてる」
『……』(ぽこん)
「了解です。砲台さん、クリップありがとうございます」
「あと、大淀に目を通してもらいたい資料があるから……」
『……』(ぽこん)
「了解しました」
「んー。砲台子鬼、ホチキスありがと」
『……』(すぽん)

 とても妙な光景だ。提督の大淀さんの息の合った会話を見るのは、とても微笑ましい。でもそのポイントポイントに、いちいち砲台子鬼さんのワンアクションが挟まれている。しかも、二人とも『クリップ下さい』とも『ホチキスちょうだい』とも言ってないのに、砲台子鬼さんはそれぞれを射出し、二人に渡している……

 確かにこれは便利だ。常にこちらの仕事内容と進行度合いを把握し、その作業に必要な文房具を、その都度自動的に射出して渡してくれる。デスクワークが多いこの二人からしてみれば、かなり便利な機能だこれは。

 でも、砲台子鬼さんの本当の存在意義って……それだっけ?

「生きる意味ってのはね。自分で見出すものなのよ?」
「人の気持ちを読まないでくださいよ……しかも何偉そうなこと言って『上手いこと言ってやったぜ』て感じでドヤってるんですか……」
「あら手厳しい」

 話によると、二人はこの後外出する用が出来たそうで。帰りは深夜になると言っていた。晩ご飯は鎮守府では食べず、外出先で食べるそうだ。

 あと、考えてみると当たり前だが、砲台子鬼さんはお留守番だそうだ。護衛にロドニーさんと戦艦棲姫さんもいるし、砲台子鬼さんは執務室を守る最後の砦だからか。

「そんなわけで砲台子鬼。留守番頼むよ?」
『……』
「……そんな寂しそうな顔しないでちょうだいよ……俺だって本当はお前さんにもついてきてもらいたいんだから……」

 驚愕の事実……提督……いやひょっとすると大淀さんも……砲台子鬼さんの感情の機微が読み取れるのか……二人は砲台子鬼さんとここまで心を通わせていたのか……提督が困った笑顔をしながら、砲台子鬼さんの砲台を優しく撫でている。砲台子鬼さんは砲台子鬼さんで、その砲台なでなでを受け入れ
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