暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3.魅惑のプロポーズ
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が走り抜ける。

「提督……そもそも万年筆とか印鑑とかを装填させるために、ここに預けられたのではないと思いますが……」
「大丈夫だよ。こう見えて、ちゃんと執務室の安全を守ってくれてるし」
「はぁ……」
「多分、もうしばらく経てば……」
「?」

 提督が、死んだ魚の眼差しを砲台子鬼さんに向けた。しばらく微動だにしなかった砲大子鬼さんが、急にピコンと反応し、ギギギギと音を立てて、天井に砲塔を向ける。

「ほら」
「……?」

 提督が得意気にそう言い、私を見下ろすように顎を上げた。その様子が鼻についたが、我慢して砲台子鬼さんを眺めていると……

『……!! ……!!!』(ぱちんぱちん)

 いつぞや天龍さんを狙撃したように、砲台子鬼さんは天井に向かってBB弾を打ち始めた。

「提督、これは?」
「上に青葉がいるんだよ」

 私はつられて天井を見た。

――……。

 言われてみると、天井から人の気配を感じないこともないが……よくこれを見抜くなあ提督と砲台さんは。

「あなたたちはどうして青葉さんの潜伏に気づくんですか……?」
「まぁ俺は昔、人間関係のるつぼにいたしね」
『……!! ……!!!』(ぱちんぱちん)

 意味が全く分かりません……。それはそうと、ここまで砲台子鬼さんと提督が仲良くなっていて……大淀さんは気分を害さないのだろうか?

「大淀さん?」
「はい?」
「いいんですか? なんだか砲台子鬼さんが提督の秘書みたいなことになってますよ?」
「私もよくボールペンとか出してもらってますし」

 あなたまで砲台子鬼さんに馴染んでいたんですか……!?

「い、いつの間に……ッ!!」
「それに、見慣れると意外とかわいいですよ?」
「そそ。意外とね」

 まさかこの二人がここまで砲台子鬼さんに慣れ親しむとは……ペット感覚なのか?

 砲台子鬼さんを見ると、相変わらず一定のリズムでBB弾をぱちんぱちんと射出している。大淀さんが執務室の片隅からほうきとちりとりを持ってきて、床に散らばるBB弾を掃除し始めた。手際がよくて、なんだかBB弾の処理に慣れている感じだ。

「大淀、ありがと」
「いえいえ」

 提督と大淀さんの二人が仲が良いのはいいんだが……その中に砲台子鬼さんがいるのがなんとも違和感がある。

「ところで大淀」
「はい?」
『……!! ……!!!』(ぱちんぱちん)
「あとで少し出かけなきゃいけなくなった。突然で申し訳ないけど、準備しておいてくれる?」
「了解しました。砲台さん。ボールペンと付箋を」
『……』(ぽこんぽこん)
「ありがとうございます」

 ……何だこの光景……大淀さんも砲台子鬼さんに慣れている……大淀さんは砲台子鬼さんから
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ