暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3.魅惑のプロポーズ
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 うん。天龍二世さんと戦艦棲姫さんの心の声は置いておいて……みんな大淀さんのため……というよりは、やっぱり色恋沙汰は気になりますよねぇ。

 青葉さんは青葉さんで、演習には付き合わない代わりに、新しいカメラや機材の準備に大忙しだと聞いた。なんでも、ケッコンのその瞬間を、最高の機材で切り取りたいそうな。先日、彼女の部屋を覗いたら、新しいデジカメだけでなく、ビデオカメラやレフ板、なんかこうもり傘にライトを取り付けたような照明器具など、よくわからないものがたくさん増えていた。

――なんせこの鎮守府のケッコンカッコカリ第一候補ですからね!!

 まぁ青葉さんが色めき立つ気持ちもわかりますしね……。

 そうこうしているうちに執務室に到着する。相変わらずヒビが入ったドアを軽くノックし、中の提督の返事を待った。

「とんとん。提督、入室していいですか?」
「赤城か。いいよー入ってー。大淀もいる?」
「はい」
「りょうかーい」

 提督の許可も受けたし、ドアを開くべく、私はしずしずとドアノブに手をかけた。

――俺達は天龍夫妻……
  フフ……コワイカ?

 ドアノブを握った時に聞こえる天龍組ボイスが、何やらおかしなことになっている。これもケッコンカッコカリ指輪が届いたことで、皆が色めきだっている証拠なのだろうか……あまり考えないようにしつつ、私はドアノブを回し、ドアを開けた。

 執務室では、妙な光景が展開されていた。

「砲台子鬼、万年筆」
『……』(ぽこん)
「ほい。ありがと」
『……』
「……ホイ書けた。ん。砲台子鬼」
『……』(すぽん)
「んー。印鑑ちょうだい」
『……』(ぽこん)
「んー」

 提督は何か書類を書いている最中だったらしく、手元の白い紙に万年筆で自筆のサインを書き込み、ついで自身の印鑑で押していたのだが……その万年筆と印鑑を、机の上に佇む砲台子鬼さんが自身の砲塔から撃ちだしていた。

 提督は砲台子鬼さんから受け取った万年筆でサインを書くと、その万年筆を再び砲台子鬼さんの砲塔へとすぽんと戻し、印鑑の捺印が終わると、その印鑑をやっぱり砲塔へとすぽんと突っ込む。……なんだこの息ぴったり感。

「……提督」
「おー赤城。大淀も待ってたよ」
「砲台子鬼さんと妙に仲いいじゃないですか」
「いや仲いいというわけじゃないけどな。普通の砲弾やBB弾だけじゃなくて、他にも色々なものを装填出来るって聞いたからさ」
「それでなぜ万年筆や印鑑を……?」
「だって、必要なときにぽんって渡してくれたら、すごく便利じゃない?」
「それはそうですが……」

 そもそも砲台子鬼さんは、この執務室の最後の守りの要として、深海棲艦さんたちから託されたのではなかったか? 私の頭を疑問
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