第一章 天下統一編
第十四話 初陣
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ざと目立つように松明を掲げて近づいたから北条方は容易に索敵できただろう。
北条方の兵達は大手門の外に出ていない。
「鉄砲の準備をしろ!」
俺は立ち止まり使番を前方に向かわせた。使番は迅速に反応し伝令のために去っていった。鉄砲組が準備をはじまる。足軽達は鉄砲足軽達のために松明を掲げ灯りを作っていた。
「殿、準備が整いました」
岩室坊勢祐が俺に駆け寄ってきた。俺は彼に頷く。
「鉄砲を放て。持ってきた玉薬を全て使い果たして構わない。ある分だけ大手門に向けて打ち込むのだ」
俺は歩きながら鉄砲組の足軽達に声をかけていった。岩室坊勢祐は俺の話が終わると鉄砲組の組頭に指示を出していく。根来衆は雑賀衆と同じく組み撃ち鉄砲で連続打ちを実現している。組み撃ち鉄砲とは五人一組で打ち手・弾込め等で役目を分業し早撃ちを実現する方法だ。この方法で四秒間隔で鉄砲を発射できる。
鉄砲組は組頭の指示で組み撃ちで鉄砲を一斉発射していく。大手門前には鉄砲の火薬の炸裂音が反響しけたたましい音がする。
(長門守、俺が注意を引きつけている間に上手くやってくれよ。一ヶ月あるから急ぐ必要はない)
俺は不適な笑みを浮かべ大手門の様子を窺った。大手門に鉄砲の弾丸が届いているようだが、北条方の兵達は出てくる気配はない。これだけ弾幕を張られては出てくる訳がない。
「無駄弾は撃ってこないか」
鉄砲組が鉄砲を撃ち込み続ける中で俺は大手門を上や固く閉ざされた入り口を見ながら言った。籠城側は物資に限りがある。本気で攻める気のない相手に鉄砲や弓矢を使うわけがない。対抗して打ち込んでくるかもと思っていたが何もする様子はない。
「殿、兵達を進ませないのですか?」
「兵達は大手門から兵が出てきたら鉄砲組が撤退する時間を稼ぐために働いてもらう」
柳生宗矩が俺に声をかけてきたから俺は積極的に攻めるつもりはないことを打ち明けた。
「これは何のためにやっておられるのですか?」
「注意を引きつけるためだ」
俺は口角を上げ意味深な笑みを浮かべた。
「何を引きつけるつもりなのですか?」
「それを教えては意味無いだろう」
「味方にもですか?」
「そうだ。計画を聞いたらお前も危険な役目を担ってもらうことになるぞ」
俺の言葉に柳生宗矩は唾を飲み込んだ。
「それは殿の役に立てるということでしょうか?」
「役に立つ。又右衛門の所にも忍びがいたな。この戦には同行させているか?」
「同行させております」
柳生宗矩は鉄砲の発砲音が五月蠅い中で俺の耳元で囁くように言った。俺の話が本能的に危険な話だと感じたのだろう。柳生宗矩は周囲を忙しなく気にしている様子だった。
「又右衛門も一枚噛むか。この役目をやり遂げるこ
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