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トシサダ戦国浪漫奇譚
第一章 天下統一編
第十四話 初陣
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いな。下らない考えを振り払った。

「小坂殿、それでは失礼いたします」

 俺は小坂雄吉と別れ自分の陣屋に戻る。




 陣屋に戻ると岩室坊勢祐が既に鉄砲組の準備を整えていた。編成された鉄砲組は二十人を一組とした六組、総勢百二十人、で構成されている。俺の軍の兵数の五分の一が鉄砲足軽ということになる。火力重視の編成になってしまっている。今夜の夜襲には俺の旗本衆と与力達も参加している。彼らは俺に文句言わず参加している。
 藤林正保は俺が大手門に夜襲をかける間に別行動をする手筈になっている。俺は小姓に手伝わせて具足を身につけると夜襲する兵達が集まっている場所に足を運んだ。

「殿、戻られたのですか。準備はできています」

 岩室坊勢祐は俺の姿を確認すると駆け寄ってきた。

「この作戦に参加してくれる者達は集まったか?」
「城井弥五郎とその家臣、五十名、が名乗りを上げました」

 岩室坊勢祐は城井堂房(きいたかふさ)の名を上げた。豊前城井氏嫡流が黒田家に粛正され俺の元に身を寄せている。豊前城井氏は元々宇都宮を名乗っていたが豊前国城井谷に土着し城井(きい)と名乗るようになった。彼の一族は黒田家によって惨たらしく粛正された。黒田家への憎しみは人一倍強い。彼の話によると甥、城井朝末、が秋月氏に保護されているとのことだ。城井朝末は城井家前当主、城井朝房の息子だ。
 城井堂房は俺に城井朝末を召し抱えて欲しいと頼んできた。

「私の真の計画を聞かされていないのに、この計画に乗るか」

 俺は笑みを浮かべた。城井堂房は見込みがある。城井朝末の件は聞き届けやる。北条征伐が終われば城井堂房は家老として扱う。

「城井弥五郎はお家再興に必死なのでしょう」
「十河存英も立場は同じだろう。この夜襲が無意味な物で手柄にならないと考えているのだろう」

 俺は口元に指をやり漆黒に包まれた空を眺めた。十河氏の家臣団は解体して私の直参として召し抱えるべきだな。力を持たせすぎることは危険だ。この戦で十河氏は戦力になるだろう。だから十河存英は上級武士として扱う。

「赤井直義も参加したいと申していましたが昼間の役目も大事ですのでそちらに回しました」

 そうか赤井直義も合格だな。

「赤井直義は内匠助と同じく計画を決行時に参加させてやってくれ。この計画に参画した者達が私の家臣団の中核をなすことになる」
「分かりました」

 岩室坊勢祐は俺の考えに深く頷いた。

「それでは行くとするか!」

 先方する足軽が松明を掲げて大手門に向かいだした。その後を鉄砲組、俺と旗本衆が付いていく。俺の心は緊張し打ち震えていた。





 俺は大手門前近くまでやってきた。大手門には篝火があがり応戦準備が整っているようだ。わ
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