第一章 天下統一編
第十四話 初陣
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。御恩に報いるように頑張らせていただきます」
俺は柳生宗矩に「頼むぞ」と声をかけ柳生宗章に声をかけることにした。
「五郎右衛門、そろそろ私の家臣になる気になってくれたか?」
「考えておきます」
柳生宗章は俺の方を向くと短く答えた。俺は笑みを浮かべた。彼は俺からの仕官の話にはいつも「修行中の身であるためお断りさせていただきます」と言って断っていた。それが「考えておきます」に変化した。少しは俺の家臣になる気持ちになってくれたということだろう。
「兄上! いつも。いつも。何故そんなに憮然と答えられるのです」
柳生宗矩は兄、柳生宗章、の態度が気に入らない様子だ。
「又右衛門、気にしなくていい。五郎右衛門は『考えおきます』と言ってくれた。俺を少しは認めてくれたということだろう」
俺は愉快そうに笑った。俺の様子に柳生宗矩は柳生宗章への怒りが萎えたようだった。
「北条氏規のお手並みを拝見させてもらおうとしようじゃないか」
俺は話題を変えて大手門の方を見た。
俺の懸念通り豊臣軍は韮山城に手をこまねいた。北条氏規は俺の想像以上に善戦していた。どういうわけか武将達は細川忠興を除いて大手門に攻めかかっていた。お陰で良い的になっていた。これは北条氏規の用兵が上手く、城兵の気持ちを一つにまとめよく統制が取れているということに他ならない。織田信雄を筆頭に豊臣軍の武将達は力攻めで大手門を破ろうとしたが、豊臣軍の韮山城攻めの緒戦は死傷者を出しただけで終わった。
猛将で知られる福島正則も手酷く被害を受けて怒り心頭で荒れ狂っていた。豊臣軍内は雪辱に怒り震えている。この分だと明日も手酷くやられるだろう。敵を寡兵と侮り冷静さを失うと敵の思う壷だと思う。
今の所俺の計画に狂いは出ていない。
俺は織田信雄に呼びつけられている。もう日が沈んでいる。織田信雄の陣屋に来ると俺は中に通されてた。俺が部屋に入ると織田信雄が既にいた。一目で機嫌が悪そうだ。酒をあおっている。彼の側には小姓が一人いて酌をしていた。
「相模守! そこに座れ!」
織田信雄は俺の姿を確認すると怒鳴り俺に目で座る場所を指示してきた。俺は言われるままに腰を下ろした。織田信雄はご機嫌斜めなようだ。
「右大臣様、お呼びと聞きまかり越しました」
俺は織田信雄に対して頭を下げた。
「貴様、城攻めに参加してなかったそうではないか? 皆が必死に攻めている時に後ろで高みの見物とはいい身分であるな」
織田信雄は酒臭い息を吐きながら俺に本題を切り出していた。俺は城攻めに積極的に参加させず戦況を遠目から観察していた。そのお陰で大手門の守りを知ることができた。大手門に籠もる兵力は百程度と見ていい。百程度でも鉄砲を上手く運用
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