リフレッシュ
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ミレ……サン・ミゲルで生き残った女の子に勉強を教えたり、本を読んで知識を学んだり、皆の仕事の手伝いをしてる」
「ほう、シャロンの家庭的スキルは相変わらずのようだ。それに街の者に暖かく受け入れられてるようで、我も安心した」
「まぁ世紀末世界は助け合わないと生きていけないからね、環境がアレだし。それに彼女の特技とも言える歌は、娯楽が少ないこともあって皆にかなり好評なんだ。そうそう、最近新曲も増えたんだよ」
「お、新曲とな?」
「前に図書館で読書をしてる時、偶然歌詞が見つかったんだって。レディ曰く古代語で書かれてて、シャロンにしか解読できなかったらしい。それで作者の名前はページがちぎれててわからなかったが、題名は“アクシア・イーグレット”。価値あるものを運ぶ白鷺、という意味が込められているらしい」
「シラサギ……コウノトリ目サギ科の鳥だな。ふむ……コウノトリが運ぶと聞けば、微笑ましい迷信だが子供を思い浮かべる。そう考えるとその歌は、これから生まれいずる子供を暖かく迎え入れる、という意味も入っておるのかもしれぬな」
「これから誕生する命に罪なんてあるはずが無い、誰が何と言おうと私は祝福する。ディアーチェの言った通りにそんな感じの歌だよ? 実際、僕も良い歌だと思ったな」
「ふむ……孤児もそうだが、非人道的な研究で生まれたり、クローンとして誕生した子供にも聞かせてやりたい歌だ」
「まあ実際、シャロンの歌を聴いてると励まされてる感じがして、心に力が湧くんだ。月詠幻歌もそうだけど、どうやらシャロンの月下美人の能力は歌を通じて想いと力を伝えるものらしい」
「確かにファーヴニル事変の際、月詠幻歌を聴く者全てに星のエナジーを作用させて、リンカーコアの治療といった治癒効果を与えていた。これだけ聞くと範囲も効果も、そこらの治癒魔法をはるかに凌駕しておるな」
「物理的な方法で治療するのがマキナなら、精神的な方法で治療するのがシャロンなんだろう。あの二人は対極的な所もあるけど、似てる所も多いよね」
「対極的……か。光の中の影、影の中の光……どこか過去のジャンゴと教主殿の関係を彷彿とさせるが、実際にそのようなことにはなってほしくないものだ」
「僕も同感だ。だってマキナもシャロンも、自分以上に他人に優しくできる子なんだから……」
「……ああ」
「僕は知っていた……マキナはマザーベースで、シャロンはサン・ミゲルで、二人とも皆が見てない所で時々悲しそうな眼をしてたんだ。本当はすぐにでも会いたいのに会えない寂しさで胸がいっぱいだったんだろう……」
「……そうか」
「今思えば二人が皆の前で見せていたのは、ただの空元気だったのかもしれない。皆に心配させないように、心に“仮面”を被って無理して強がっていたのか
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