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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン68 覇王達の戦い(後)
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霧の王と同時に負けるパターンばかりだった。
 でも今回みたいに、霧の王だけが先に負けてしまうなんてのはこれまでなかった。ずっと一緒にやって来た相棒が先に力尽きて、僕だけがいまだ戦闘可能な状態にあるなんて初めての経験だ。
 情けないと思う。なにをうじうじしてるんだと馬鹿にされても仕方ないし、実際これが他人事だったらそう思っていたことだろう。でも、なぜだろう。折れてしまった僕の心は、立ち直ろうとする気配すらないままだ。
 もうこの手をデッキに載せて、サレンダーすれば楽になれるのかな。何を馬鹿なと叫ぶ自分がいるが、そんな心の声とは無関係に腕がゆっくりと動く。サレンダーしようとする自分の体を、まるで別人の動きを見ているかのような感覚で見降ろしていた。

『清明!』

 手が今まさにデッキにかかろうとしたその瞬間、誰かの声が聞こえた。その声はオブライエンのもののような気もするし、ジムのものにも聞こえた。あるいはケルトや、辺境の大賢者といった人々だったような気もする。もしかしたら、その全員だったのかもしれない。
 だが確実に言えるのは、覇王ともチャクチャルさんとも違うその声を聞いた瞬間、まるでバケツ一杯の冷たい水でも被ったかのように意識がはっきりしたことだった。すっきりした頭に諦めや絶望とは違う、不思議な気力が少しずつ湧いてくる。

「これは……」

 ポケットの上からでもわかるほど、オリハルコンの眼が赤く輝いている。そっと取り出してみると、その光は直視したら目が潰れそうなほどの強さになっていた。手の上のそれをぐっと握りしめると、不思議と力が湧いてくる。あれだけ心を占めていた絶望が、消えていく。
 そうだ、このデュエルは僕一人の物じゃない。どうして、そんな大事なことを忘れかかってしまったんだろう。覇王を倒すため、そして十代を救い出すために僕らはたくさんの犠牲を払ってきた。ここに来た時点で僕らの後ろに道はない、最後の最後まで突き進むのみだ。

「だから、僕はサレンダーなんてしない。この手はそんなことをするために付いてるんじゃない、カードを引いて戦うためにある!」

 勝負を捨てるためではなく、続けるために改めてデッキに手をかける。目の錯覚だろうか、一瞬その手に何人もの手が重なって見えた気がした。

「僕のターン、ドロー!」

 引いたカードは……死者蘇生、か。確かに文句なしに強力なカードではあるけれど、この局面で有効活用はできるのだろうか。さあ考えろ、これまで僕らが使ってきたカードは何がある?
 ただ打点の高いモンスターならば僕の墓地の壊獣達……ドゴラン、ガダーラ、ガメシエル2体、サンダー・ザ・キングがいるが、それらを蘇生させてもダメだ。バブルマンは守備表示だし、マジック・ストライカーは自身のバトルで発生するプレイヤーへのダメー
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