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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン68 覇王達の戦い(後)
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ら復活し、再び十代の体を覆い尽くそうとしつつあった。

『マスター、それを使え』
「うん、わかってる」

 不思議と、何をすればいいのかはわかっていた。もはや三沢特製の水妖式デュエルディスクに溜めておいた水も空になり、例え覇王が向かってきてももう一度デュエルを行うことは不可能という切迫した状況にも関わらず、むしろ落ち着いた気持ちで孤独に戦い続けるそのそばへと歩み寄る。
 いまだまばゆいほどに光り続けるオリハルコンの眼をぐっと握りしめ、そのままその拳で復活しつつある鎧の中心を殴りつけた。
 その瞬間、世界が真っ白になるほどの光が放たれた。何も見えなくなるほどの光が収まった時、覇王の鎧は消えていた。そこに倒れて気を失っているのは、久しぶりに見る親友の姿。

「十だ……」
「君は、清明!?なぜ君がこんなところに?」
「こんなところでお前の顔を見るとはな……その様子だとうまくいったようだが、オブライエンはどうした?」

 ちょうど後ろから入ってきたのは、なんとエドにヘルカイザー。ああそうか、なんか覇王城を下から見た時に目に止まった機械龍に見覚えがあると思ったら、あれだ。カイザーがヘルカイザーになって新しく手に入れたとか言うエース、サイバー・ダークとかいうモンスターだ。吹雪さんとデュエルしてるのを最後に少し見ただけだったから、今の今までどうしても思い出せなかった。
 って、そんなこと今はどうでもいい。

「話は後で。いつまでもこんな辛気臭いところに居ないで、とっとと外に出よ……うおわっ!?」

 まったくの不意打ちだった。ズシン、ズシンという何か重いものがぶつかるような音とともに、覇王城が大きく揺れる。岩肌に穴がくりぬいてあるだけの窓から外を覗くと、覇王城めがけて何体ものモンスターが攻撃を仕掛けていた。その攻撃に対抗している覇王軍は数では勝るとはいえリーダーを欠く状態での士気はお世辞にも高いとは言えず、結果としてかなりいい勝負になっている。混乱に包まれ怒号の飛び交うその戦場の最前線から、僕にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「さあ、我々を苦しめてきた覇王は既に亡き者となった!敵は幾万有りとても、全て烏合の衆でしかない!今こそ我らの、本物の悪魔の誇りを取り戻す時が来た!怯むな、かかれ!」
「グラファ……まさかっ!」

 まるでタイミングを計ったかのような、グラファ達による覇王軍への強襲。偶然とは思えないほどのタイミングの良さに何かピンと来るものを感じ、ばっと水筒を……一番最初にグラファにあった際、老人の姿に粉していた彼に水を所望され差し出したそれを持ち上げてまじまじと見る。案の定、底の一点にほんの数ミリほどのサイズではあるが盗聴器らしき機械が付いていた。完全にしてやられたことに呻きつつ、もう遅いとはいえそれを引きはが
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