ターン68 覇王達の戦い(後)
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オブライエンが倒れ、覇王城の王室にいるのは僕と覇王の2人のみ。さっきまでは隣にオブライエンがいる心強さからあまり感じなかったが、いざこうして1対1で向かい合うと覇王のプレッシャーをひしひしと肌で感じる。
だけど、ここで弱気になるなんてありえない。オブライエン、ジム、ケルト……たくさんの人たちの想いを受け継いで、僕はここにいるんだ。
「さあ覇王、お前のターンはまだ終わってないよ」
「なんだ、茶番は終わったのか?カードをセットし、ターンエンドだ」
カードをセットしたことで、覇王の手札は0枚になった。だが次にターンを回してしまえば覇王は永続魔法、守護神の宝札の効果によりドローフェイズのドローで2枚ものカードを引いてしまう。
……オブライエンの奮闘もあり、覇王の残りライフはたった100。この僕のターンで、なんとしてでも奴を潰す。それが僕が受け継いだ、彼のミッションだ。
「僕のターン、ドロー!」
覇王の従えている恐るべきモンスター、攻撃力4000のダーク・ガイアを倒す方法は……ない。だけど僕の手には先ほどサーチしておいた1枚のカードが、僕にとってはこれまで禁じ手に等しかった、ある方法がある。
今からすることは、以前の僕なら絶対やろうとしなかっただろう。だけど今の僕は、これまでの遊野清明ではない。僕の中に生き続けるユーノの思考パターンや戦術の癖が、僕の人格にも多少なりとも影響を与えているのがわかる。
「行くよ、グレイドル・イーグル!」
硬い石の床からにじみ出る銀の水たまりがぶくぶくと泡立ち、黄色い鳥の姿を模した侵略者がその翼を広げた。
グレイドル・イーグル 攻1500
「バトルだ、イーグル!ダーク・ガイアに攻撃!」
やっとわかってくれたのか、とでも言いたげに一声鳴き、その羽を震わせてイーグルが自分よりはるかに強い相手に向かって矢のように突っ込んでいく。これまで自爆特攻はモンスターを捨て駒にするみたいで、人の戦法にケチをつける気はないが自分がする分には嫌だった。だけど、もしかしてそんな僕を見て。ずっとそんなことを言ってグレイドルの力を十分に発揮させてやらず、勝てたかもしれない勝負で負け続けてきた僕を見て。彼らはずっと、その悔しさに歯噛みしていたのだろうか。
グレイドル・イーグル 攻1500(破壊)
→E−HERO ダーク・ガイア 攻4000
清明 LP4000→1500
先ほどのように隕石を繰り出すこともせず、岩石の腕を無造作に振るうダーク・ガイア。ただそれだけでイーグルの全身がバラバラに砕け、プレイヤーの僕にまでその衝撃の余波が襲う。だけど、僕はその瞬間だけダーク・ガイアに生じた隙を見逃さなかった。水滴となって飛び散ったイーグルの欠片は壁に床に跳ね
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