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第八十二話 要塞対要塞です(その2)
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し出されたディスプレイにあったのは、次々とトマホークで血しぶきを上げて斬られていく装甲擲弾兵の姿だった。
「どうやら敵にはローゼンリッターが配備されておりますようで、味方は徐々に押されつつあります。」
「ローゼンリッターが配備されているか。」
ロイエンタールもその敵側の薔薇の騎士団の勇名はつとに聞いているところであった。彼らが配備されているというのならば、話は変わってくる。肉弾戦で彼らに抗することのできる部隊はそれほど多くはない。
「正面からの肉薄は無理か・・・・。」
ロイエンタールの眼前で護衛艦の一隻が爆発し、その残滓をばらまきながら要塞地表に激突させていった。その時、通信士官がミッターマイヤーからの通信を知らせた。
『ロイエンタールか。』
やや不鮮明ながらもミッターマイヤーがディスプレイ上に出た。
『残念ながら、揚陸部隊は例のローゼンリッターとやらに苦戦を強いられている。此方の損害が大きい。艦隊損害もバカにならない。いったん引き上げた方がいいだろう。無理は禁物だ。』
「撤退はやむを得ん、か。」
ロイエンタールはダークブラウンの頭髪を殊更ゆっくりと指で撫でつけた。
『敵の荒肝を多少はひしげたのではないか。初戦はそれでいいだろう。』
「そうだな。ここで勝ちに拘泥し、支払う代償が大きくなればそれは愚行の極みというべきだろう。」
うなずいたロイエンタールは撤退を指示した。装甲擲弾兵の生き残りたちは揚陸艦に転がるようにして乗り込んだが、発射寸前に要塞からの攻撃で爆沈する艦が続出した。
「陸戦部隊の撤退を掩護しろ。」
ロイエンタール艦隊、ミッターマイヤー艦隊双方は上空からの攻撃を受けながらも、地上から脱出してくる味方を収容すべく努力した。ここで同盟側が有効攻撃位置を取り続けていたならば、あるいはロイエンタール、ミッターマイヤーの生命はここで終わっていたかもしれないが、彼らの背後にもまた帝国軍艦隊が現れて攻撃を仕掛けてきたのである。ティアナの艦隊だった。ティアナは部隊を二手に分け、要塞表面の戦闘をロイエンタール、ミッターマイヤーの分派した機動部隊群に任せたのち、数千隻ずつの艦艇を率いて降下したのである。新手の登場と猛攻に、ヤン艦隊も第十六艦隊、第十三艦隊も正面から立ちふさがる愚を避けたが、ロイエンタール、ミッターマイヤーもしたたかな損害を被っており、これ以上の戦闘継続の意思を失っていた。
 味方を収容したロイエンタール、ミッターマイヤーはティアナと協力して巧緻を極めた退却戦を自身が殿となって演じた。追尾しようとする同盟軍を各所に配置した機動部隊群がその都度したたかに叩き、後退しようとする同盟軍にさっと一撃を与えてひるませたのち、悠々と遠ざかっていったのである。
「初戦から要塞内部に肉薄を許すとは・・・・!!」
バチン!!とクレベール
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