白熱する駆け引き
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らジェムを見る。さっきまでとは違いインチキ呼ばわりされたことに怒っているような、まるで般若のお面でも被っているような顔をしていた。しかしジェムは怯まず、自分の推理したゴコウの戦略を述べる。
「ルナトーンが『未来予知』で見ているのは私たちの動きだけじゃなかったんでしょ? むしろ自分の『サイコウェーブ』をいつ使えば威力が高く使えるかを知るのが本当の狙い。ゴコウさんのルナトーンがいつも高い攻撃力で『サイコウェーブ』を撃てていたのは、そういうことよね」
「ぐっ……否定できるわけじゃねえが、ただ本当にわしらの運がいいだけって可能性もあるはずだぜ? 嬢ちゃんよ、あんたの言う通りだっていう根拠がどこにある?」
あくまで認めるつもりはないらしいゴコウ。ならばとジェムは根拠を述べる。
「根拠ならあるわ。ルリの時はハイドロポンプを外して隙があったのにその時は何もせず止まってただけだった。『未来予知』で身代わりを避けて攻撃してたけど、あの隙に攻撃していればその必要すらなかったはずよ」
「ぐぬぬっ……そ、それはだな……」
ゴコウの顔が年老いた姥面のような困り顔になる。自分の推測が間違っていないと確信したジェムは、人差し指を突き付けて宣言した。
「ミラの時もシャドーボールを避けるだけなら天井まで行かなくていいのにわざわざ弧を描いて、時間をかけて移動した。それはルナトーン自身がサイコウェーブを打つべきタイミングを知ってたからに間違いないわ! あなたたちは二連続で『サイコウェーブ』を撃っても両方強いパワーになる瞬間を待ってたのよ!」
「ぬおおおおおおおお!!」
ゴコウの巨体が後ずさり、獅子舞のように顔が真っ赤になって大きく口をあける。しばらく口をパクパクさせ何か反論しようとしたようだが、思いつかなかったようだ。破顔し、手で頭を掻く。
「くっ……芒に月の『未来予知』と『サイコウェーブ』のコンボを見抜いたトレーナーは9人目だぜ……」
「あ、結構いるのね……」
「長生きして色んなやつと戦ってるとそれなりにな。とはいえ、十分誇っていいぜ。見抜いた奴は何人かいても、それを利用して反撃したのは嬢ちゃんが初めてだからよ!」
そう、ジェムはゴコウの運を操るトリックを察したうえでそれを利用した。『お仕置き』は相手のパワーが上がっていればいるほど威力が上がる技。『コスモパワー』と『ロックカット』の併用でもともと威力は上がっていたが、ルナトーンが意図的に『サイコウェーブ』の力を強くしたことでさらに威力を増すことが出来たのだった。一撃目で『守る』を使ったのは、ゴコウ側も最初は防がれると踏んで二発目の方に最大威力を持ってくると読み切ったからである。
「どう、私たち……運と駆け引きのバトル、出来てるかな?」
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