暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
白熱する駆け引き
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こうして飲んで気合を入れるのさ」
「うーん、お父様もお母様もジャックさんも飲まないからわかんない……」
「へえ、あの坊は嬢ちゃんの前では飲んでなかったのかい」
「え、ジャックさんお酒飲むの……?」

 本気で意外そうに言うゴコウ。しかしジェムは彼がお酒を飲んでいるところなど見たこともなかったし話に聞いたこともなかった。首を傾げるジェム。

「ブレーン同士で集まって会食した時呑み比べたら大した酒豪だったし美味い酒について語り合ったんだが……まあ、嬢ちゃんが真似しないように気ぃ遣ってたんだろうな。いい師匠を持ったじゃねえか」
「そっか……ええ、ジャックさんは私の尊敬する師匠で、家族よ」

 ジャックは年齢は大人どころではないが見た目は小さな子供だ。彼がお酒を飲んでいたら私も飲みたいと言い出してしまったかもしれない。幼い自分のためにジャックさんにも苦労をかけていたんだなと改めて思う。

「おっと、話が逸れちまった。まあとにかく、ポケモンバトルはそれぞれ楽しんでなんぼってことよ! 儂はそのために酒を飲み、札の仲間を使う。嬢ちゃんはどうするか見せてくれい! 行くぜ二枚目、芒に月!」

 細長い芒が生えた風景に三日月が映える絵札から、ルナトーンが飛び出てくる。強固な防御力に加えて運次第で威力の変わるサイコウェーブに以前ジェムはぎりぎりまで追い詰められてしまった。

「キュキュ、いったん戻って! 頼んだわ、ルリ!」
 
 ジェムはキュウコンをボールに戻し、マリルリを呼ぶ。出てきたマリルリは鞠のようにポンポンと転がり弾んでからしっかり足で立った。耳をピンと立て、力こぶを作ってやる気をアピールする。

「芒に月にマリルリをぶつけてくるたぁ……さっきのキュウコンと同じく、期待していいんだな?」
「ええ、応えられるかどうかわからないけど、これが私の作戦よ」

 二日前の戦いでルナトーンとマリルリはぶつかり合い、そしてルナトーンの守りを崩せずマリルリが倒れた。それでもぶつけてきたということは今度はそうならないつもりがあるということに他ならない。

「ルリ、『アクアジェット』!」
「芒に月、『コスモパワー』!」

 マリルリが尻尾から水を噴出させ、一気にルナトーンの眼前に躍り出る。ルナトーンは動じずに瞳を閉じ、エネルギーを溜めて防御を固めた。

「さあ、この守りを崩せるか!?」
「勿論そのつもりよ! ジャンケン……『グー』!!」

 マリルリがルナトーンの前で拳を固め、その一点のみに『腹太鼓』のパワーを込める。放たれた掌底が三日月の体を捉え、一気に壁まで吹き飛ばした。ゴコウが思わず目を見張る。

「ははあ、手遊びの溜めを攻撃力アップに利用するたあ良い発想だ。嬢ちゃんもバト
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