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フロンティアを駆け抜けて
白熱する駆け引き
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石火』!」

 ドダイトスが大地を揺らし、フィールド全体に衝撃を発生させる。キュウコンは一気にジャンプして、ドダイトスの真上まで飛びあがった。いかに広範囲な攻撃と言えど、地震は宙に浮いている相手には当たらない。

「新技いくよ!『ニトロチャージ』!」
「なら松に鶴、『殻にこもる』だ!」

 キュウコンが尻尾に炎を集め、尻尾同士をぶつけることで敢えて爆発を起こし真上から加速して突撃する。今までキュウコンは前の持ち主である母親のスタイルに合わせてか天r自分から動かなかった。ドダイトスは自分の大きな殻に体を引っ込めて受け止める。キュウコンがドダイトスの木々が生い茂る背中にぶつかった。木々が生い茂る殻の硬さは予想以上だったのか、キュウコンが額を尻尾で抑える。

「コォン……」
「いい動きだ嬢ちゃん、だが松に鶴の真上を取ったのは失敗だったな! その背中こそ一番硬く、そして緑のパワーが集まるところよ! 松に鶴、『リーフストーム』だ!」

 ドダイトスの背中の木々がざわめき始め、正にキュウコンの乗る背中から烈風を巻き起こし始める。だがジェムは慌てない。

「キュキュ、殻の中に『火炎放射』!!」
「果たして間に合うかなあ!?」

 キュウコンが得意技の九の尾からなる炎を直接ドダイトスに注ぎこもうとする。しかし既に烈風は嵐となり始め、キュウコンの体を吹き飛ばそうとするが――

「『ニトロチャージ』には攻撃のほかに追加の効果がある。キュキュのスピードはいつもより上がってるわ! エンジン全開よ、キュキュ!」
「コーーーーン!!」

 吹き飛ばされるより早く炎を溜めたキュウコンがドダイトスを直火焼きにして、殻全体が炎に包まれる。キュウコンも真上に吹き飛ばされ、天井に叩きつけられはしたが、タッチの差で先にダメージを与えたことで戦闘不能になるまでのダメージは受けなかった。

「ちょっとだけ違う、か……いやはや、変わるもんだ」

 ドダイトスを札型のモンスターボールに戻しながら、ゴコウがしみじみと言う。二日前に戦った時は、ジェムは使える戦略をただぶつけていただけだった。だが今は敢えてドダイトスの背中を取ることで大技に誘導し、火炎放射を近距離で叩きこむ隙を作ったのだ。ゴコウはそれを認めたうえで、腰につけた瓢箪を手に取り、口をつける。

「前も飲んでたけど、何を飲んでるの?」
「ああ、酒だよ。嬢ちゃんも飲むかい?」
「だ、ダメよそんなの!」

 冗談めかしてゴコウが盃を突き出す。ジェムは慌てて首と手を振った。お酒は二十歳になってからである。初々しい反応にカッカッカとゴコウが笑う。

「嬢ちゃんに話してもわかんねえだろうが、儂は楽しいバトル中に飲む酒が一番美味いと思っててなあ。合間合間に、
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