ケッコン協奏曲 〜赤城〜
2.大淀、演習場に立つ
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っと……」
「大丈夫。あなたもこれからは任務娘ではなく、最前線で戦う軽巡洋艦なんですから」
「……」
それに、ロドニーさんも言っていた通り、彼女は強い。だからきっと良い艦娘になる。ロドニーさんだけでなく、私もそれは保証するところだ。
「だからつけてみましょ」
「はい」
私が背中を押したことで、大淀さんの心も決まったみたいだ。彼女の艤装の装備を私も手伝うことにする。私はもちろん、彼女も自分の艤装の実物を目にするのは初めてだ。マニュアルを片手に、二人で試行錯誤の時間が続く。
「えーと……これは偵察機のカタパルトですから、腕でいいんですかね……」
「これは背中に背負えばいいんでしょうか……」
「これは主機ですね。赤城さんのものとは見た目がちょっと違いますが……」
「空母と軽巡じゃあやっぱりちょっとね……」
そんなこんなで、二人であーでもないこーでもない……と頭を抱えながら、大淀さんの身体に艤装が装着されていく。
そして二人で20分ほどがんばって、ついに……
「では、主砲を持ちますね」
「はい」
大淀さんが、艤装をすべて装備し終わった。その姿はまさに、威風堂々。
「ほぁぁぁ〜……」
「いいですね。上々です」
「そ、そうですか?」
「ええ。せっかくなんで、全身を見てみてください」
「え、でも……」
「いいからいいから〜」
遠慮がちな大淀さんの背中を押し……といっても大淀さんは艤装を背負っているけれど……全身を写せる大きさの鏡の前まで二人でやってきた。
「ほら大淀さん」
「これが……これが私……?」
「そうですよ。軽巡洋艦、大淀の勇姿です」
大淀さんは、鏡に映る自分の全身を見た途端、ほっぺたをほんのり赤く染めた。初めて見る艦娘としての自分の姿に、ぽうっと上気したのかもしれない。
「ぽぉー……」
「……」
そんな大淀さんを眺めながら、なんだかダイヤモンドの原石を磨き切り、一介の女の子を一人前のレディーに仕立てた、あしながおじさんになった気分を抱いた私。私までつい上気してしまう。
「ぽぉー……ハッ」
「ぽぉー……ホッ」
二人で数分ほど見とれた後、私たちはほぼ同時に意識を取り戻した。いけない。私はおじさんだなんて年齢じゃないのに。そういうことは、提督にまかせておけばいい。
「赤城さん……私……私、これからがんばります!!」
意識を取り戻し、私に対してそう宣言する大淀さんの顔は、今まで見たどの大淀さんの表情よりも、希望に満ち溢れ、キラキラと輝いて見えた。
「ですね!」
「はい! ですから、これからたくさん演習の相手をしてください!」
「もちろんです!!」
なんせあなたのケッコンがかかっていますらねぇグフ
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