暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
1.新しい仲間
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ところどころモールドのようなものが見えるのだが……そのモールドからプシューッと蒸気を排出して、余計な圧力を抜いているように見えた。何この子キモい。この子マジキモいんですけど……。

「まぁそんなわけで提督」
「お、おう」
「この砲台子鬼をよろしく頼む。常に執務室に待機させておいてくれれば、この執務室の警備は万全になるぞ?」
「う、うん……」

 集積地さんは、返答に困って額に冷や汗を垂らしている提督を尻目に、両手で大事そうに砲台子鬼さんをだっこすると、だまって砲台子鬼さんを提督へと差し出していた。

 提督は、きっと今質量が500トンぐらいになっている激重な腰をなんとか持ち上げ、そして恐る恐る砲台子鬼さんを受け取り、そして大事そうにだっこしはじめた。

「うう……」
『……』

 その様子は、まるで自分の姉に生まれた赤ちゃんを抱き上げる弟のようにぎこちなく、そして腰が引けている。

「と、ところで集積地?」
「ん?」
「この子は、執務室のどこに配置しとけばいいの?」
「どこでも構わない。こいつは足が生えているから、自分の判断で勝手に動く。
「な、なるほど……では……」

 何を思ったのか……提督は、砲台子鬼さんを、しずしずと自分の机の上に置いた。人間、余裕がなくなって頭が回らなくなると、意味がよくわからない行動を取ることがある。

「……提督」
「……ん?」
「なんで砲台子鬼を机の上に置く?」
「あ、いや、あの……」
「……?」
「いやだって、ここなら執務室内が見渡せるでしょ? だから執務室内のどこにでも砲撃出来るなぁと思って……」

 もっともらしい事を言っているが、あれはきっと口からでまかせのウソだ。提督は、きっと何も考えてなかった。彼の顔を見ていれば、それぐらい分かる。

 とはいえ、集積地さんいわく『自分に向けられる敵意や悪意に敏感』らしい砲台子鬼さんが、提督には素直に従い砲を向けてないところを見ると、提督はなんだかんだで砲台子鬼さんのことを仲間として受け入れてはいるようだ。

『……』
「はは……」

 キモいけど。

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