ケッコン協奏曲 〜赤城〜
1.新しい仲間
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は今、天龍二世と廊下にいる」
「あらそうなの? んじゃ入ってもらって」
「分かった」
電さんの頭をくしゃくしゃしながら、入り口のドアに向かって『おーい。入っていいぞー』と声を掛ける集積地さん。その後ドアが静かにカチャリと開き、ドアの向こうから天龍二世さんが姿を見せた。
「コワイカー!!」
いつものようにバンザイをして、天龍イズムを発揮しながら。
「怖いかー!!」
天龍さん……あなたまでいっしょになってやらなくていいんですよ……。満面の笑顔でバンザイまでしちゃって……やっぱりこの二人、似たもの親分子分だ。
そしてそんな天龍組を尻目に、天龍二世さんの後ろから、ちょうど天龍二世さんと同じぐらいの背丈の、なんだかボールに足と砲塔がついたような、妙な出で立ちの子がとてとてと執務室に入ってきた。
「お?」
「集積地、この子が?」
「ああ。名前は砲台子鬼だ」
集積地さんにそう呼ばれる砲台子鬼さんは、その人間の子供のような足でとてとてと歩き、私たちの前を素通りして提督の机の前までやってきた。
「ほら、砲台子鬼」
『……』
「挨拶をしろ。お前の新しい提督だぞ」
集積地さんにそう促された砲台子鬼さんは……会釈の代わりなのだろうか。ギギギと音を立て、その砲塔の角度を一度下げ、再び上げていた。
「よ、よろしく……」
その様子を見ていた提督は、死んだ魚の眼差しのままあっけに取られつつも、なんとかがんばって挨拶を交わしていた。
提督があっけにとられる気持ちも分かる。今まで出会ってきた深海棲艦さんたちは、なんだかんだいいながら人間型の人たちがほとんどだった。それに比べて、この砲台子鬼さんはどうだ。
『……』
「……ハハ」
『……』
どう見ても人間以外だ。顔つきがキモいPT子鬼の天龍二世さんでさえ、なんだかんだで人間の姿形に近い。ところが砲台子鬼さんは、もはや形状が人間ではない。
「「「「……」」」」
「ん? みんなどうした?」
「いや、まぁ……その、なんだ……」
「?」
集積地さんに言い寄られ、提督がしどろもどろになりながら言葉を選んで答えている。いや提督だけではない。天龍さんやロドニーさん……そして私ですら、集積地さんの問に対してスムーズに答える口を持ち合わせていない。……いや、端的に感想を述べることはできるが、それを口に出すのはダメだということを理解し、忠実に守っているに過ぎない。
『……』
砲台子鬼さん……端的に言うと、キモい。キモすぎる。
「ま、まぁーあれだな」
口は悪いが根は面倒見がよくて優しい天龍さんが、ついに口を開いた。必死に掛けるべき言葉を探して、決心したゆえの発言であることが、彼女の表情から見て取れる
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