ケッコン協奏曲 〜赤城〜
1.新しい仲間
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輩を前にした、恋する女子中学生のようだ。
「そ、それを最初に見る人物は……決まってる……だろう?」
ロドニーさんは落ち着かない様子で、今度は両手で剣をもじもじといじりながら、真っ赤な顔でぽそりぽそりとそう言った。……あーなるほど。要は『それを一番最初に見るのは大淀だ』と言いたいらしい。意外とロマンチストだなこの人。
「なんせ騎士の国の艦娘だからな……礼節には意外とうるさいんだよこいつは……ハァー……」
ロドニーさんの相棒ともいえる戦艦棲姫さんが、ため息混じりにそうつぶやいていた。顔の半分には斜線が入り、いかに日頃礼節に口うるさいロドニーさんに苦しめられているのかが、その瞬間手に取るように分かった。
「戦艦棲姫さん……心中お察しします」
「ありがとうアカギ……」
彼女の肩を叩き、労をねぎらう私。とは言っても彼女の代わりにロドニーさんとコンビを組むのはイヤだけど。あくまで他人事。だから優しくなれる。
「そ、そういうわけで、中身の確認はダメだッ!!」
「どんなものか見てみたかったんだけどなー……」
「見てみたかったのです……」
ロドニーさんの制止と叱責を受けた電さんと天龍さんは全く同じ表情で口をとがらせ、ヘソを曲げていた。二人のその反応はまぁ予測できたけど、どうしてあなたまでまったく同じ顔してるんですか提督……上官としての威厳はないんですか……?
「だって見たかったんだもん……」
あなた子供ですか……。
「うう……集積地さん〜……指輪が見られなかったのです……」
「残念だったなイナズマ。まぁこれは仕方ない」
「慰めてほしいのです……うう……」
「仕方のないやつだ……」
一方で本当の子供といえる電さんは、友達兼保護者兼恋人の集積地さんに甘えて頭をくしゃくしゃとなでてもらっていた。最近は、ホントもう二人はこのまま付き合っちゃえばいいじゃないかという気がしてくる。
「うう……集積地さん……」
「そろそろ機嫌を直せイナズマ」
電さんの柔らかい髪を、乱れない程度に優しくくしゃくしゃとなでてあげる集積地さんと、涙目で口をとんがらせてるけど、ほんのりほっぺたを赤くしてそれを受け入れている電さんの二人は、どこからどう見ても恋人同士に見えてしまう……それは私の目が濁っているからか?
「集積地さ〜ん……うう……」
「お〜よしよしイナズマ〜……」
前言撤回。恋人同士を通り越して、もはや孫とおばあちゃんだ。こんなことでいいのかこの二人は……。
「まぁそれはそれとして……集積地」
「かわいい奴めイナズマ〜……ん?」
薄っすらと光る指輪のケースを机の引き出しにしまい、提督はいつもの濁りきった死んだ魚の眼差しになって、涙目で自分にしがみついている電さん
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