95部分:動きはじめた時その六
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間に合ってくれればいいがな)
だがイシュトーはまだ知らなかった。自らの決断が彼を数奇な星のめぐりに入れてしまうことに。
ーバーハラ城ー
バーハラ城の一角には巨大な書庫がある。その蔵書は大陸一といわれ古今東西様々な分野の書物が収められている。その中で一人の青年が書を探していた。
切り揃えられた赤い髪に紅の瞳をしている。白い中世的な整った顔からは高い知性が表われている。金で縁取りされた白い踵まである法衣とズボンを身に着け群青のマントを羽織っている。彼こそがヴェルトマー十一将のラダメス将軍とアイーダ将軍の子にして帝国の宮廷司祭、そして天才軍師の誉れ高きサイアスである。
ユグドラルでその名を知らぬ者はいない。軍師としての才覚は解放軍のオイフェに匹敵すると言われ帝国軍を知の面で支えている。また仁と信を知る帝国きっての人格者としても有名であり近年の帝国の虐政を危惧し必死に抑えようとしている。各地で反乱にみまわれている帝国が何とか持ち堪えているのも彼在ればこそだった。
「どうもここではないらしな」
何かの書を探しているようだ。
「地下の古い書物庫の方へ行ってみるか」
階段を降り下へ向かった。
燭台で周りを照らしながら降りる。カツーン、カツーンと音がする。
蝋燭の火で照らしながら書を探す。だがまだ見つからない。
「奥へ行ってみるか」
奥へ行った。ふと照らされた足下に何か古ぼけた文が束になっているのが目に入った。
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