94部分:動きはじめた時その五
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動きはじめた時その五
「・・・・・・何か滅茶苦茶だな」
イリオスはトマトとベーコンのリゾットを食べながら辺りを見回し呆れ顔で言った。リゾットを食べ終わると茄子とホウレン草のトマトソーススパゲティに手を移した。勿論酒を飲みながらである。
「どう思う、アマルダ。このドンチャン騒ぎ・・・・・・・・・ん!?」
アマルダは馬の水桶の様な大杯に並々と注がれたウイスキーをゴクッ、ゴクッと馬の様な勢いで飲んでいた。一滴も零す事無く紙が炎の中に消える様な勢いで飲み干した。
「何か言った?イリオス」
完全に目が座っている。
「・・・・・・いや、何でもない」
さっと目を逸らし酒と料理を持ちそそくさと席を移ろうとする。だが遅かった。
「待ってよ」
後ろから肩を掴まれた。
「・・・・・・遠慮する」
だが無駄だった。
「何よお、私の酒が飲めないっていうのお!?」
酒臭い息を吐きながら大杯を出しそこにウイスキーを注ぎ込んでいる。
「飲んで。私のおごり」
ヌッと差し出す。
「あのなあ、人間がこれだけ飲めるとでも・・・・・・」
反論しようとする。だが無駄だった。
「馬なら出来るわ」
きっぱりと言い切った。
「馬は人間とは・・・・・・」
「馬に出来て人間に出来ないっていうの!?じゃあ見てなさい!」
そう言うや否や別の大杯を取り出してそこにビールや赤、白、ロゼの葡萄酒、蜜酒を放り込み一気に飲み干した。
「出来るわ。貴方もやってみて!」
断れば殺される、イリオスはそう感じ大杯を両手に持った。
「糞っ、こうなりゃヤケだ!」
音を立てて飲む。その眼は血走り顔が紅潮している。そして遂にやり遂げた。
「どうだ、飲んだぞ!」
アマルダに目をやると完全に酔い潰れて大の字に倒れこんでいた。目はクルクルと回っている。
「この女、あれだけ言っておいて・・・・・・」
イリオスもそう言うと倒れた。大杯が地面に落ちる。
「ん〜〜、可愛いわあ。アズベル君」
ミーシャは杯飲み干すとアズベルを抱いたまま沈んだ。アズベルは既に潰れている。
ロベルトは頭から血を流しながら西瓜をビールで流し込むと倒れた。オルエン達はケーキどころか果物もお菓子も食べ尽くし蜜と油の中に死んでいた。その中にリーフもいた。
腕相撲やオイフェの物真似に興じていた連中もギャンブルに興じていた連中も騒いでいた連中も皆屍を曝している。死屍累々たるその中で一人だけ生き残っている者がいた。
「本当に楽しいですね」
ユリアは微笑を浮かべながら小さな両手に杯を持ち酒を飲み続けている。周りには人一人分位はあろうかという骨や果物の河が堆く積まれ樽が二十個程丁寧に置かれている。どうやらユリアが全て平らげたようだ。恐るべき事に全く顔色が変わっていない。素
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