お姉ちゃん!?
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いた酔っぱらいと彼に絡まれている男性との周りを囲むように集まっている野次馬。その様子を、近くのホテルの一室から眺めている俺たち。
「おおよそこんなもんでいいかな?」
一番前に座り自身が考えた作戦の成功を見守っていたグラシアンさんがそう言う。実は下で起きている騒ぎ、彼が計画したものなのである。
「みんな、誰が怪しいか検討ついたか?」
「あぁ」
「俺はあいつかな?」
「私はあの方が怪しいかと」
数人が不自然、または見た感じ怪しいと思う人物を指さす。それを聞いたグラシアンさんが、改めて指示を出す。
「この作戦はあくまで敵を見つけられる可能性を高めるものであって、確実なものじゃない。ウソの騒ぎで人々を集めて、その中から候補を絞っていく方法だ」
あの酔っぱらいは、グラシアンさんがその辺で見つけてきた、いわゆるサクラと呼ばれる人だ。選出方法も適当に昼間から酒浸りになっている人を選んだだけというシンプルなもの。そんな彼が街の中で暗殺するだなんて騒いでいたら、本当の犯人たちは事実を確認しようと動き回るはず。
「だが、街に奴等が本当に来ているのか?」
「城の内情やら街の様子やらは日々変化させていると思うだろ?だったら毎日でも視察に来るよ」
グラシアンさんの言葉が妙に説得力があるのが気になる。なぜ彼はここまで考えることができているのだろうか?もしかして昔悪いことしてたとかなのかな?あえて聞かないけど。
「騒ぎに気付かなかったら?」
「あんな騒ぎに気付かない組織、全く怖くない。攻めてくるのを待ち構えてても余裕で退場させられるよ」
街の視察に来ない場合も、この騒ぎに気づけない場合も大した驚異とはならない。ただ人が多いだけの安っぽい組織という認識になるらしい。何か失敗した時の言い訳のようにも聞こえるけど、彼の言葉も正しいように思うから、問題ないかな?
「それじゃあさっきのグループで追跡。ただし、絶対に深追いはしないようにな」
戦力を分散させての追跡調査。その中に本命の敵がいたとしても、こちらから勝負を仕掛けたりは絶対にしてはならない。向こうは戦力の大半がその場に集結しているだろうし、勝ち目があるとは思えない。
「調査が終わったらこのホテルの前にある喫茶店に集合しよう。城に直接行くと、後をつけられた時が怖い」
向こうに後をつけ返され、アジトの場所などを動かされて予想外の攻撃を食らったら意味がない。リオンさんの意見に全員が賛同し、動き始める。
「この人数来たら喫茶店は大喜びだな」
「それは今抱くべき感情じゃないよ」
冗談半分といった感じで笑みを見せるレオン。さてさて、俺たちの標的は当たりか外れか、どっちかな?
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