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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 ポイント・オブ・ノーリターン
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は外見は華奢だけれど内面は剛毅な悲劇の英雄で私は彼を公私にわたって献身的に支える健気な女性のようです。イメージって怖い。
体制が整うと捜査そのものは順調に進みました。情報漏洩者は国防委員会に居ました。当初、国防委員会が情報の漏洩源だと分かった時、捜査本部は緊張に包まれたのですが情報漏洩者は政治家でも軍人でもありませんでした。民間から採用されていた女性事務職員で、彼女には恋人が居たのだけれどその恋人が麻薬の密売組織と繋がっていたのです。
政治的な背景は無かったし彼女はスパイでもありませんでした。
「悪い事だとは思っていたけれど彼を失いたくなかった」
逮捕された直後の彼女の言葉です。彼女は既に三十歳を過ぎて独身でした。恋人を失いたくない、そんな思いを利用されたのです。
愚かだとは思うけれど彼女を軽蔑は出来ません。一会戦あたり最低でも二十万、多いときは百万単位で若い男性が戦死するのです。長い戦争で男性が女性に比べ圧倒的に少なくなっています。結婚できない女性が増え続けているんです。
政府の一部には重婚、一夫多妻制そのものを認めるべきだという意見すら出ていますが、女性を馬鹿にするようなものだと反対する意見も有ります。でも実際に現状をどうするかと問われればなかなか答える事が出来ません。今回の事件は現在の社会矛盾が生み出したものなのでしょう。ただ愚かだと言って済ます事は出来無いと思います……。
情報漏洩者は逮捕、麻薬の売人組織は主だったものを逮捕し組織は壊滅……。捜査が終わって後方勤務本部に戻るとヴァレンシュタイン大尉はヴァレンシュタイン少佐になっていました。事件解決のために大きな働きをしたということです。
どうやらトリューニヒト国防委員長の強い推薦が有ったらしいです。私は中尉のままだけど不満はありません、あまり大した事はしなかったし此処で昇進なんかしたら益々周囲の視線が痛くなります。
ヴァレンシュタイン少佐は私の隣で仕事をしています。にこやかな笑みを浮かべながらココアを飲んでいる。この根性悪のサディスト! 今回の事件は少佐の一人勝ちでした。フェザーンでは可哀想な人だと想ったけど、今回の一件で私の少佐に対する評価は最強、最凶、最悪に極悪非道、諸悪の根源を追加する事になりました。
「少佐、そろそろお時間です」
「分かりました、行きましょうか」
私と少佐はキャゼルヌ大佐の私室に呼ばれています。あまり良い予感はしません、あそこに呼ばれるときは必ず碌でもない事を命じられる時です。第四艦隊、フェザーン……。
部屋に入るとキャゼルヌ大佐に椅子に座るように促がされました。今日はヤン中佐は居ません。何となくほっとしました。ヴァレンシュタイン少佐とヤン中佐は何処と無く牽制し合うようなところが有って傍に居ると酷く疲れるんです。
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