艦娘とスイーツと提督と・14
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らボソボソするし、薄力粉じゃなくて強力粉使ったんじゃねぇか?」
「ううううぅ〜……」
俺が指摘する度に胸に不可視の刃が刺さったように押さえ付けていた加古だったが、しまいには泣き始めてしまった。
「だってぇ、見ながら作った料理の本には小麦粉としか書いてなかったから小麦粉なら何でも良いのかと思ってさぁ……」
メソメソ、グスグスと泣きながら失敗のワケを語る加古。
「だったら周りに聞けよ。プレゼントする相手の俺にゃあ聞けなかったかも知れんが、古鷹とか間宮とか、相談する相手は居たろ?」
「だ、だってさぁ……アタシが相談に行くと皆して『あらあら、まぁまぁ』ってすげぇ生暖かい笑顔でニヤニヤしてるんだよ?すげぇ恥ずいじゃん」
「Oh……」
フォローしてやろうと思ったが、何故だかその光景がありありと目に浮かんでしまった。ウチの連中はどうして、そういう純情を放って置いてやれないのか。恐らく知り合いは『間違いなく、お前の悪影響だ』と言うに決まってるので口には出さないが。
「だからさ、クッキー位アタシ一人の力で作ってやる〜って作ったらこのザマだよ……ゴメンね提督、もういいよ。こんな失敗作無理して食べなくtーー」
「ありがとよ、加古」
「ふぇ?」
「初めて作ったんだろ?それも、誰にも教わらずに。そりゃ失敗位するだろうよ」
実際、俺も料理をやり始めた頃は今じゃあ思い出しただけで悶え苦しみそうなレベルの失敗をしたりしている。
「正直な、金剛以外に料理やら菓子をプレゼントされた経験って殆どねぇんだわ。ほら、俺寧ろ作る側だし?」
俺の発言にプッと吹き出す加古。
「だからよ、毒突いちまったがすっげぇ嬉しいぞ、加古」
そう言いながら俺はもう一枚クッキーを手に取り、口に放り込んだ。何枚も食べてると、案外この歯応えがクセになってきている……かもしれない。
「だからよ、心が篭ったこのクッキーはすげぇ美味い。改めてありがとな、加古」
「うん……うん!」
「さてと、折角のココアも冷めちまったな。淹れ直して来るけどお前も飲むか?」
「勿論!美味しく淹れてよね!」
「……あいよ」
料理は愛情!と語る料理研究家が昔居た。正にその通りだと思う。だから失敗をしていようと加古のクッキーは『美味い』のだ。ましてや、俺に惚れてるオンナの手料理だ、有り体に不味いとは言えないさ。
『まぁ、金剛のオリジナリティ溢れる料理とか酷すぎるのは別として、な』
「あ〜……ココアって落ち着くわぁ」
「だろうな。純粋なココアパウダーにはリラックス効果がある成分が含まれてるんだ」
ココアの原料であるカカオ豆には『カカオ豆テオブロミン』という香り成分が含
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