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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜風雪の忍と光の戦士〜
第九話 緊張 ―テンション―
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 半ば諦めたように返事をする紗耶だが嬉しさがないわけではない。何故なら紗耶もデュエリスト、しかも結構な負けず嫌いなのだから。

「あ、先に言っておくけど手加減とかはしないでくれよ。実力差はあるだろうけど、まったくの初心者ってわけでもないんだから」

 ふたりをよく知る者からすれば無謀だと思われるかもしれないが、最強レベルのデュエリストの真実の強さを見たいと思うのも人情と言えるだろう。彼の言葉から少しの間を置いて、シュテルが短い笑い声を漏らす。ブレイブホルダーを取り出しながら立ち上がった彼女の雰囲気は、今までのものとは変わっていた。

「当然です。私はファンだろうと本気で向かってくる相手に手を抜くつもりは一切ありません」

 そこに漂うのは、確かな強者の貫録。ブレイブデュエルという世界の頂点に立つ者が纏う気配。それに紗那は気圧されてしまう。ショウの方は何も口にはしていないがブレイブホルダーを用意しているあたり戦意は十分あるのだろう。シュテルのような雰囲気こそないが、逆に彼女の雰囲気に全く当てられてないのは確かな実力を持つ証拠だ。

 それを感じ、座ったままなのに紗那は少し後ろに下がりそうになり……唐突に疾風に手を握られ、我に返った。

「大丈夫だ、紗那。俺がいる。……一緒に戦おうぜ」

「っ……うん」

 疾風に笑いかけられ、紗那は落ち着きを取り戻して小さく笑い返した。思い返してみれば何しろ、二人とずっと会いたいと思っていたのは事実なのだ。そしていつかデュエルしたいと思っていたことも、また事実。

 ずっと驚きと緊張が先行してしまっていたので実感がわいていなかったが、ならばこれは自分がずっと望み続けていたこと。夢が叶った瞬間と言ってもいい。……そして自分は、一人ではない。疾風もいるし、ブレイブデュエルに入れば相棒のリンクもいる。もう大丈夫だ、と紗那は立ち上がってホルダーを取り出した。……気付かずに手を繋いだまま。

「……何だか空気を読み間違った気がします。デュエルが始まってからにするべきでした」

「まあ下手に緊張されるよりは良いだろ……おい、なんで手を繋ぐ?」

「私も緊張していますので」

「お前には逆に必要ないだろ。適度な緊張は必要なんだから」

 相手にも影響を与えそうな雰囲気が漂っているわけだが、シュテル達に関しては普段通りとも言える。場に流されない冷静さこそが彼女たちの根源的な強さでもあるのだろう。だがそのことに、このときの疾風たちは気づいてはいない。







 本来ならばドリームマッチということで実況でもつきそうなところだが、紗那が目立つのが苦手であり、かつ超有名人の二人の来店が知られると大騒ぎになてしまう可能性もあった。さらに大会前に手札をあまり晒し
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