暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは『絶対零度の魔導師』
アージェント 〜時の凍りし世界〜
プロローグ
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来なら暴走なんてしない仕組みなんだよ。」

だから、と暁人は続ける。

「アイツを……氷雪(ひゆき)を助けるには、十二個全部が必要なんだ。」

確かめるように話す暁人。その黒い瞳には、何人たりとも覆すことの出来ない、絶対零度の意思が宿っていた。

その時、

「お…兄ちゃん、お客さん……?」

「氷雪ちゃん?起きてていいの?」

「あ……エヴァ…さん。はい、今日は調子がいいので。」

奥の部屋から姿を現したのは銀色の長髪の少女。決して融けない氷山を思わせる暁人とは違い、今にも消えそうな一片の雪を想起させる。

「氷雪、治った訳じゃ無いんだから大人しくしてろ?」

「平気だよ……無理は、しない…から……。」

少女――――白峰氷雪は弱々しいが、それでも笑みを作り、はっきりと言い切った。暁人はそれ以上は何も言わなかったが、その表情から不安は消えていない。

(ここだけ見ていれば、病弱な妹と心配性の兄にしか思えないのにね………)

彼ら兄妹を取り巻く状況のうち、どれか一つでも欠けていれば『こう』はならなかっただろう、と、エヴァは思う。その事が幸運だったのか不幸だったのかは全て終わらなければ分からない。ただ……

「お兄ちゃん……。」

「何だ?」

「………いなくなったり…しないよね?」

「………当たり前だ。」

…………ただ、彼らを別つ事だけは、神様にだって不可能だろう。
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