アージェント 〜時の凍りし世界〜
プロローグ
[1/4]
前書き [1]次 最後 [2]次話
第9管理世界 《アージェント》
「ギャァァァ!!?」
「ひっ……や、やめろ!来るな……来るなぁぁ!?」
「聞いてないぞ……こんな……こんな!」
「落ち着け!一旦退いて態勢を立て直……グハァ!!?」
見渡す限りの大雪原。その真ん中で、30人程の人々が“ナニカ”に襲撃されていた。一方的に蹂躙されている人々は別に只人ではない。時空管理局で魔法戦技を学んだ武装隊。戦闘のプロフェッショナル達だ。
その集団が今、全く為す術もなく倒されていく。一人、また一人と数は減っていく。
「何だよ……何なんだよチクショウ!!」
とうとう残るは一人だけ。他の者とは違い、厳重に封印を施されたケースを左腕に魔法で縛り付けている。
残った一人はデバイスを構え、応戦を試みる。が、魔力弾を放つより遥かに速く、男に氷の槍が撃ち込まれた。
「ガッ……!?」
まともな防御も出来ず、一撃で倒される男。その男に、音もなく近付く影があった。
「……『それ』か。」
ポツリと呟く。近付いたのは一人の少年。まだ14〜5歳だろうか。だが、その目に宿る鋭い光は、その年齢を感じさせない。
「一度だけ言う……『それ』を渡せ。」
「ぐ……誰が……お前なんかに………」
『それ』が何なのか知っている男は当然拒絶する。しかし……
「……なら、いい。腕ごと貰っていく。」
そういって少年は、自身の杖型デバイスを振りかぶる。その先端部分には氷の刃が生まれ、まるで槍のようにも見える。
そして、その槍を躊躇いもなく男の左の二の腕に振り降ろす。その刃が男と左腕を分断する直前だった。
「待て!待ってくれ!!」
ピタリ、と少年の動きが止まる。穂先は、バリアジャケットを紙の如く切断し、薄皮一枚切り裂いたところで停止していた。
「渡す、渡すからやめてくれ!!」
そう叫んで男は、拘束を外し、ケースを手離す。それを少年は引ったくる様に奪うと、外装を切り裂き、中身を確認する。
「間違いないな……これが……これが《スノウスフィア》か。」
中身は雪の結晶の様な形をした、透明なクリスタルだ。
「……まだ、一つ目だ。……急いで集めなきゃ、な。」
男を昏倒させたあと、そう言って少年は何処かへ消えた。
一ヶ月後
「護衛任務?私達で?」
次元航行艦アースラの一室。そこでは三人の少女が、一人の青年と向き合い話をしていた。
「ああ。護衛対象はロストロギア《スノウスフィア》。これの発掘現場からの移送だ。」
「ちょっと待ってお兄ちゃん。それって武装隊か遺失物管理部の仕事じゃないの?」
疑問を挟んだのはフェイト・T・ハラオウン。金髪に赤い瞳をもつ美
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ