84部分:合流その六
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合流その六
レンスター城正門の前でセリスとリーフは手を固く握り合った。
「リーフ王子、初めまして。シアルフィのセリスです」
ニコリと微笑んだ。リーフも笑みを返す。
「我が軍を救って頂き有り難うございます。改めて御礼を申し上げます」
二人の周りを両軍の将兵達が囲んでいる。その一番前にオイフェ、アレス等解放軍の将とフィン、ナンナ等レンスター軍の将達が立っている。
「まさかセリス公子自ら来て頂くとは・・・・・・。感激に堪えません」
「いえ、貴方方は共に帝国と戦う同志、その危機を見過ごすわけにはいきません」
「セリス公子・・・・・・」
「それに私の父シグルドと貴方の父キュアン王子は親友同士、そして貴方の母エスリン王女は私の叔母、私が来なくて誰が来るというのです」
「・・・・・・・・・」
セリスの言葉にリーフは心を打たれた。今までレンスター各地を放浪し追われ続けていた自分を受け入れ同志とさえ呼んでくれる人は今までもいた。だがこれ程までに優しく暖かくそれでいて力強い光を放って言う人が今までいたであろうか。
「リーフ王子、私達と共にフリージ、そして帝国と戦いませんか。貴方達の力が是非必要なのです」
「はい・・・・・・」
二人は握り合った手を掲げ合った。両軍の将兵達が大きな歓声を挙げる。その中でアレスは腕を組みながらセリスを見ていた。
(・・・・・・・・・)
感無量のオイフェや晴れやかな顔で二人を見ているオルエンやレンスターの騎士達と違い表情を一切変えず無言のままである。だがその瞳はセリスに何かを見たようだ。
フィンは二人を見ながら頬を手の甲で拭いていた。何度も何度も拭いていた。
(この時の為に私は生きてきた・・・・・・・・・)
周りはそんなフィンに誰も気付かない。そしてフィンも周りを気にとめていなかった。
(そしてこれからも生きるのだ・・・・・・・・・)
レンスター軍は解放軍に合流した。レンスター城の市民達は歓喜の声で彼等を迎え入れレンスターの旗とシアルフィの旗が共に翻った。またゼーベイアをはじめとしてかってのレンスターの家臣達も解放軍に集まってきた。
二月に渡るレンスター城攻防戦は幕を閉じた。参加兵力はフリージ軍四万、レンスター軍三千、レンスター軍の援軍である解放軍五千、結果は解放軍の援軍を受け一気に攻勢に転じたレンスター軍の逆転勝利だった。フリージ軍は司令官グスタフが解放軍についたゼーベイアに首を討たれその部下達共々レンスター城正門に晒し首にされたのをはじめ一万の兵を失い、残りの三万余はアルスター、コノートへ向けて潰走した。この勝利により解放軍はレンスター地方を解放しコノートとアルスターの間に楔を打ち込むと共にレンスター軍を救出し鮮やかな勝利を収めた事で名声を更に高め同時に新たな頼もしい仲間達を加
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