83部分:合流その五
[8]前話 [2]次話
合流その五
ナンナの杖が輝き傷付いた者達を癒していく。どの者もこれまでの鬱憤を晴らすかのようにフリージ軍へ襲い掛かる。
リーフが剣を振り敵兵を次々と倒していく。その横ではフィンが若き主を守る様にして戦っている。
解放軍の思いも寄らぬ急襲とレンスター軍の突撃の前にフリージ軍完全に崩壊していた。地に倒れ伏すのはフリージの将兵とフリージの旗ばかりであり兵士達は次々とアルスターやコノートへ向けて逃走していった。
「ゼーベイアを呼べ、ゼーベイアを!」
グスタフは本陣において形振り構わず怒鳴り散らしていた。その姿はさながらヒステリー状態の猿であり周りの将兵達は呆れ返っていた。
「糞う、何故来んのだ、あの馬鹿者が!」
手にしたからの杯を地に叩き付け周りの者を呼びに行かせる。グスタフは一人になり一層イライラとした様子で周りを見回す。
「おのれ、わしの一大事に何をしておるのだ、あの老いぼれは。後で思い知らせてくれるわ」
その時だった。後ろから声がした。
「呼んだか?」
その声は紛れも無くゼーベイアのものだった。グスタフは振り向き様に言った。
「馬鹿者!今まで一体何処に・・・・・・」
それ以上いえなかった。鼻の先へ槍が突きつけられた。
「最早貴様の言いなりにはならん。わしは今からリーフ様の下で戦う」
「ぐう・・・・・・・・・」
槍が更に突き出される。グスタフは一歩退いた。
「貴様はこの手で倒す。だが手に武器を持たぬ者を倒すのはわしの流儀ではない」
槍を退けた。
「槍を取れ。せめてそれだけは待ってやろう」
「ぐう・・・・・・」
グスタフは呻きながら側に立ててあった槍を手に取った。彼が金にあかせて買ったマスターランスという逸品だ。
「ぐおおぉぉぉっ!」
グスタフ礼もせずいきなり槍を突き出した。何の事は無い。つまらぬ一撃である。
ゼーベイアはその槍を冷静に見ていた。槍を一振りした。グスタフの手から槍が弾け飛んだ。
続いて槍を繰り出す。槍はグスタフの着ている分厚い盾と鎧を貫いた。
グスタフはしゃがみ込んだ。ゼーベイアは槍から手を離すと腰に差してある銀の大剣を抜いた。
その剣を横に一閃させる。グスタフの首が宙に飛び紅い曲線を描きながら地に落ちる。
「悪人の最後なぞこんなものだ」
ゼーベイアは剣の血を拭き、腰に収めた後槍をグスタフの屍から引き抜いた。既に周りではフリージ兵の姿は無く解放軍とレンスター軍の将兵達の勝ち鬨が木霊していた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ