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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十六話 孤高のスタンドプレイヤー
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くないけど、もしまだ戦える状態だったら、俺はまだ戦う必要がある。

「――――ってぇな……ったくよぉ」

「うそ……だろ……っ」

 爆風が去り、姿を見せたのはほとんど無傷のケイジさんの姿だった。

 爆発の熱などでバリアジャケットの所々は焼け焦げてるけど、肌に損傷があるようには見えない。

 なにより流血もなく、姿勢も安定してることから疲労や痛みがない状態なのは明らかだ。

 対して俺の全身はボロボロだ。

 体の至るところから血が流れ、爆発の影響でバリアジャケットはボロボロ。

 やけどや切り傷など、激しい傷が全身に広がっていた。

 体内も骨の何本かが折れてるし、状況は絶望的だ。

「まだ続けるか坊主?」

 余裕の表情で問うケイジさんに、俺は――――、

「――――もちろん。 まだ、やります」

 尽きることのない意思を胸に、挑むことを決意する。

「なら、これで終わりにしてやる」

 ため息混じりの言葉と共に、ケイジさんは両手で大剣を握り締め、大きく振り上げた。

 同時に足元に三角系の魔法陣が展開され、魔法陣から膨大な黒い魔力が放出される。

 放出された魔力は重力に逆らって上昇し、大剣を包み込む。

「それ、は……」

「坊主ならよく知ってるだろ? 俺の十八番だ」

「……」

 そう、俺はケイジさんの放とうとしているその魔法を知っている。

 だってそれは俺が、最初にケイジさんから模倣した魔法だから。

 残された選択肢はただ一つ。

「くっ……」

 痛みに逆らいながら、俺は刀を振り上げる。

 上段の構えから足元に三角系の魔法陣を展開させ、そこから溢れ出る魔力を刀身に纏わせる。

 ケイジさんと鏡写しのように同じ姿勢、同じ魔法陣、同じ魔力の流れと形。

 そう、俺もまた――――同じ魔法を放つことにしたのだ。

「偽物が本物に勝てると思うか?」

「勝てれば、俺が本物です」

「勝てればな」

 挑発に挑発で返す。

 そのやりとりが、最後だった。


――――「「国喰牙翔っ!!」」――――。


 同時に振り下ろされ、放たれたのはケイジ・カグラの十八番、『国喰牙翔』。

 文字通り国一つを破壊したことがあることから付けられたその魔法は、刀身に膨大な魔力を喰わせ、斬撃に乗せて放つ大技。

 砲撃魔導師が放つ収束砲と呼ばれるそれに近く、斬撃をまとわせている分、斬ると言う能力も備えている。

 俺とケイジさんが同時に放ったそれはぶつかると同時に爆発を起こし、しかしあまりの轟音に聴覚が捉えきれず、無音の爆発を起こした。

 だけど、その爆発すら喰らい、ケイジさんの斬撃は俺に迫った。


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