第三十六話 葬儀その五
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太子そして帝国の者達の殆どが国を去る用意を進めていた、マリーの側近達は彼等のその様子を見つつ彼等の主に言った。
「今の状況ですが」
「帝国の方々が去られようとしていますが」
「この国にとって吉ですか」
「そうなりますか」
「はい、やはりです」
マリーも確かな声で答えた、その彼等に。
「帝国の方々はこの国をロートリンゲン家のものにされるおつもりなので」
「だからこそですね」
「おられない方がいいですね」
「帝国との同盟は続けても」
「それでも」
「この国はこの国の者、エヴァンズ家のものです」
だからこそというのだ。
「ロートリンゲン家のものにはです」
「しないからこそ」
「あの方々はおられない方がいい」
「この国の為には」
「是非ですね」
「そうです、この国はです」
まさにというのだ。
「この国の民のもので」
「民達を治めるですね」
「エヴァンズ家のもの」
「そうなりますね」
「そうしたことですね」
「そうですから」
だからだというのだ。
「この国をロートリンゲン家には渡せませんでした」
「ロートリンゲン家が治めれば」
ロドネイ公が言った。
「やはり善政を行うでしょう」
「国のことも民のことも考えた」
「はい、ロートリンゲン家は民を愛する家です」
このことでも定評がある、だからこそ多くの民達を長年に渡って治めることが出来てしかも愛されてきているのだ。
「ですから」
「私もそう思います」
「そうですね」
「はい、しかしです」
「ロートリンゲン家の領地であり」
「そのうちの一部としてです」
一つの国としてよりもそう考えられてというのだ。
「治められていきます」
「その時は」
「ですから」
マリーはロドネイ公に話した。
「この国に軸を置いたものではなく」
「帝国の一部として」
「そのうえでの善政をです」
「ロートリンゲン家は敷いていましたね」
「この国の王家、即ち国の主となれば」
「それがです」
大司教も言う。
「あの家のやり方で」
「それで、ですね」
「多くの国、地域を領土としてきまして」
「治めてきて」
「今い至ります、そして」
「この国もまた」
ひいては四国全てをだ。
「そうしようとしていました」
「そうでしたね」
「そして王国とですね」
キャスリング卿の目は鋭かった、笑みを浮かべながらも。
「対していましたね」
「この国を帝国の一部として」
「そのうえで」
「そう考えていました」
「ロートリンゲン家の考えとして」
「そうでした、我が国のことよりも」
「ロートリンゲン家、帝国としてですね」
キャスリング卿はマリーに問うた。
「考えていたので」
「そうでした」
「ですからマリー様は対抗
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