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Three Roses
第三十六話 葬儀その四

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「しかし父上があえてだ」
「大きくですね」
「新教徒を認められて」
「そしてそれと共に見返りに諸侯の権限も弱めた」
「新教の信仰を認めると共に」
「そうだ、教会とも争ってだ」
 そうしたこともしてというのだ。
「多くの枢機卿に賄賂も支払った」
「そうしたことも行われていました」
「そこまでだったのですか」
「そうだ、とにかくだ」
「手を尽くされて」
「収めた、今も細心の注意を払っているが」 
 それでもとだ、太子は言うのだった。
「残念だが経済的に発達した北西部の沿岸地帯は新教徒があまりにも強過ぎてだ
「独立ですか」
「そうされてしまいそうですか」
「残念なことにな」
 この危惧も話したのだった。
「そうなるかも知れない、何とか硬軟双方で攻めて抑えているが」
「それでもですか」
「彼等は」
「帝国から出るかも知れない、しかし他の諸侯達は幸いにも力を弱められている」
 相当にだ、まだ他国に比べて帝国の諸侯の力は強いがそれでもかなり弱まっているのは事実なのだ。
「何とかしていく、私もな。信仰もな」
「帝国もですか」
「そうされていますか」
「教会を警戒しつつな、まさに間違うとだ」
 それでというのだ。
「国は乱れる、我が国もだ」
「だからですね」
「我々もですね」
「信仰も大事にしても」
「まずはですね」
「国のことを考えるのだ、若し信仰を盾に内乱が起こるなら」
 この国でというのだ。
「その時は私は卿達にはつかない」
「マリー王女にですか」
「新教徒の方にですか」
「つくかだ」
 若しくはというのだ。
「中立だ、少なくとも卿達にはつかない」
「そうされますか、太子も」
「その時は」
「しかし国をまとめるなら力を貸す」
 その場合はというのだ。
「安心するのだ」
「わかりました」
「ではそう致します」
「我等も内乱なぞ起こすつもりはありません」
「国を弱めるだけです」
 彼等もわかっていた、それが何にもならないことを。だからこそ太子に言うのだった、
「ですから」
「ここはです」
「太子の言われるままにします」
「これからも」
「是非な、では私は去るが」
 それでもというのだった、またしても。
「この国のことは見ていく」
「それでは」
「また機会があれば」
「会おう」
 この国の旧教の領袖達にも言ってだった、太子はマイラの葬儀の後で国を後にしてからのことも言い残すのだった。
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