暁 〜小説投稿サイト〜
Three Roses
第三十六話 葬儀その三

[8]前話 [2]次話
「このことは残念に思うが仕方がない」
「マリー様のご婚礼の時には」
「もう」
「この国を去る、そしてマリー王女はだ」
 彼女はというと。
「帝国で祝辞を送り幸せを祈る」
「太子、まさか」
「マリー王女を」
「男女の愛情はない」
 そこは断った、それもはっきりと。
「しかし敬意を持っている」
「左様ですか」
「そちらの感情をですか」
「持たれているのですか」
「そうなのですか」
「そうだ、見事な人物だ」
 こう評するのだった。
「政治においても人格においてもな」
「時として対峙しましたが」
「そして激しく争いましたが」
「それでもですね」
「あの方に敬意を持たれていますか」
「だから別れることは惜しい」
 そう思っているというのだ。
「直接会えなくなることはな」
「そうなのですか」
「そう思われていますか」
「この国の柱となる」
 マリー、彼女はというのだ。
「だから卿達もだ」
「信仰は違えど」
「それでもですね」
「忠誠を誓うべきだ」
 こう言うのだった。
「この国を栄えさせたいのならな」
「そうですか、では」
「その様に」
「四国も統一することだ」
 この国と北の王国、島国と半島をというのだ。
「そうすれば王国とも五角に対峙出来るからな」
「だからですね」
「そのことも」
「マリー様にお仕えし」
「進めていくべきですね」
「そうだ」
こう告げるのだった、彼等に。
「それがこの国の為になる、しかしだ」
「それと共にですね」
「帝国にとっても」
「益になる」
 その帝国の次の皇帝としての言葉だった。
「また言うが王国にも対してくれる、それに貿易もだ」
「そちらもお考えなのですか」
「ただ王国に対するだけでなく」
「我が国はこれでも貿易にも力を入れている」
「だからこそですね」
「我が国ともより」
「そう考えているからだ」
 だからこそというのだ。
「卿達にはこの国がまとまる為にだ」
「信仰よりもですね」
「国のことを考える」
「そうすべきなのですね」
「この国の為にも」
「それが帝国の為になることは確かだが」
 太子はこのことは隠さない、あえてこう言って帝国の立場を示しているのだ。それでも自分達は敵ではないとだ。
「しかしだ」
「実際にですね」
「それがいいのですね」
「この国にとって」
「我等がそうした方が」
「血は見たくないな」
 こうもだ、太子はオズワルド公と司教に問うた。
「この国の民達の」
「新教徒と旧教徒が争い」
「王国の様にですね」
「そうなることはどうか」
「そうなのですね」
「我が帝国も大きな騒動になりかけた」
 他ならぬ彼等もというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ