78部分:血の絆その七
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血の絆その七
「アミッド様に、リンダ様・・・・・・」
「あの二人が来てるという事は少なくとも私の命を狙っているのではないわ。安心して」
「はあ・・・・・・」
ティニーは若者を見た。自分と同じ銀髪に黒い瞳、青と白の服にマント、中世的な顔立ち、何処か自分と同じものを感じた。
(母様・・・・・・)
右手で首に架けてあるペンダントを握った。死ぬ間近の母から貰った形見である。
(もしもの時は・・・・・・・・・)
若者が手と手が届くまでの距離にまで近付いた。その足が止まった。
「・・・・・・君が、ティニー!?」
「はい、そうですけど。・・・・・・貴方は?」
アーサーはティニーの胸に架けてあるペンダントを見た。そして己が首に架けているペンダントを見比べた。同じものだった。
「間違い無い・・・・・・。ティニー、迎えに来たよ」
「えっ・・・・・・」
「俺はアーサー。アゼルとティルテュの子、君の兄だ」
「嘘っ・・・・・・・・・」
ティニーは戸惑った。無理も無い。いきなり敵軍の者が目の前に現われ自分の兄と名乗り出たのだから。
「アミッド兄様、リンダ・・・・・・」
ティニーは幼い頃より知っている従兄妹達へ視線を向ける。二人は黙って頷く。
「君が首に架けているペンダントと俺のペンダントを見てくれ。同じものだろう」
「あ・・・・・・・・・」
その通りだった。ティニーは思い出した。母がこのペンダントを自分に渡した時このペンダントと全く同じ物を持つ人がいると言った事を。そしてそれが自分の兄だという事を。
「もう一つ見せたい物がある」
右手を脱いだ。炎の形をしたアザと雷の形をしたアザがある。
「きみの右手にもある筈だ」
ティニーはこくん、と頷いた。その通りだったからだ。
「このアザこそは俺達がフリージとヴェルトマーの血を引く証、そして兄妹である事の証なんだ」
「あっ、あっ・・・・・・」
幼い頃母より聞かされていた記憶が次々と甦る。兄の話、父の話、そして共に戦ってきた仲間達の話・・・・・・。いつも寂しげで哀しい瞳をしていた母がその話をする時だけは明るくなった。今までどの話も半信半疑であった。その話を母が自分にすると叔父は母をたしなめ叔母はいびった。二人はあの話は作り話だと言った。それでも母は自分にその話をし続けた。死ぬ時でもその話をした。まさかそれが本当だったとは。
「母様がいつも私に話してくれた兄様・・・・・・。まさか本当だったなんて・・・・・・」
「やっと、やっと会えたんだな・・・・・・」
ティニーは兄の腕の中で泣いた。止めようと思っても止まらなかった。
「俺と一緒に来ないか。皆御前が来るのを待っている」
「はい・・・・・・」
アミッドは二人を横目にヒックスに言った。
「御前はどうするんだ
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