77部分:血の絆その六
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血の絆その六
「パティも腕を上げたじゃない」
パティの活躍を横目で見つつマリータは敵兵の盾を叩き飛ばした。そして一瞬で無数の剣撃を叩き込んだ。
「流星剣・・・・・・。使いこなしてきたじゃない」
パティが声を返す。
三姉妹は必死に戦局を立て直そうと自ら陣頭に立ち魔法を放ち指揮を執っていた。だが全軍を投入しても戦局は刻一刻とフリージ軍に不利になっていくばかりであり損害は増えていった。
「戦局は危うい様ですね」
ヒックスを伴いティニーが三姉妹の所へ現われた。その眼は迫り来る解放軍を見据えている。
「はっ、申し訳ありません。戦局は我が軍にとって不利、最早挽回は困難かと・・・・・・」
ヴァンパが敬礼をしつつ報告する。
「退却、ですね」
「はっ、殿軍は我等が務めます」
ヴァンパの言葉にティニーは首を横に振った。
「その必要はありません」
「えっ!?」
「殿軍は私が務めます」
ティニーは毅然とした態度で言った。
「し、しかし姫様・・・・・・」
「撤退する軍に最後まで残り戦うのは魔法騎士トードからのフリージ家の慣わし。私もフリージ家の者、逃げるわけにはいきません」
「姫様・・・・・・」
普段の所在無さげで頼りなげだったティニーの凛とした態度と強い口調は三姉妹にもヒックスにも思いもよらない事であった。しかし流石に歴戦の将達である。すぐに顔が元の冷静なものになり顔を見合わせ頷き合った。
「解かりました。御武運をお祈りします」
三人は敬礼した。ティニーも敬礼で返す。それぞれ退却する軍の指揮を執る為戦場を後にする。
「貴方は退却しないの?」
ティニーは傍らに残るヒックスに言った。彼は心配そうな表情の指揮官に微笑んだ。
「私の任務は姫様を御護りする事です。最後までお側にいますよ」
「有り難う・・・・・・」
普段の様に頼りなげな感じに戻ったティニーを励ました。
「司令官は弱気になってはいけません。シアルフィ軍を押し止め次の戦いでは反撃に移りメルゲンを奪回しましょう」
「はい」
フリージ軍は次々と戦場から離脱していく。解放軍は兵力で劣っている事もあり無理に追う事はせずフリージ軍は比較的順調に退却していた。
その時アーサーはアミッド、リンダ等同じフリージの者達と共に前線にいた。目の前のフリージ軍は殆ど撤退しておりフリージの大旗と僅かばかりの将兵が残っているだけだった。その将兵の姿まで視認出来る距離である。
「あれ、イシュタル姉様でもブルーム叔父様でもないわ」
リンダは大旗の下にいる将を見て言った。
「じゃあ誰だ?」
アミッドの言葉にリンダはその将をよく確かめながら言った。
「う〜〜ん、ティニーね。まさかあの気の弱い娘が司令官なんて。まあ叔父様が無理矢理行かせたんだろうけど」
「テ
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