75部分:血の絆その四
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いた。ヴァンパは苦い顔で舌打ちすると左にいたエリウに言った。
「ティニー様にお伝えして。我等は先軍及び左右両軍との合流に向かうと。そして本軍も合流に向かわせて欲しいと!」
「解かったわ!」
エリウが後方の本軍へ伝令を飛ばした。ヴァンパ土煙の中にある前方の友軍を見た。
「間に合ってくれれば良いが・・・・・・」
眉間には皺が刻まれ額や頬を汗が伝う。整った顔が蝋の様に白くなり紅い唇から見える歯は苦々しく噛まれている。
シャナンは退却する解放軍の部隊と追撃するフリージ軍を少し離れた高い場所から数人の将兵達と共に見ていた。腕を組み落ち着いた表情で双方を眺めている。
「どうやら連中は引っ掛かってくれた様だな」
シャナンは両軍を見つつほくそ笑む。そして傍らの兵に問うた。
「軍の配備は?」
兵士は答えた。
「全て完了致しました」
敬礼をする。それはシアルフィ式のものであった。それを見てシャナンは満足そうに頷いた。
「よし、機は熟した。フリージ軍を今ここで打ち破るぞ」
シャナンはゆっくりと右手を上げた。
「合図を」
兵士の一人が敬礼し後ろに下がった。火矢が放たれ派手な音を立て爆発する。
「何だあれは?」
追撃するフリージ軍の兵士の一人が左手に上がり爆発した火矢に目をやった。シアルフィ軍か、そう思った。前に視線を移す。あの連中はさっきから全速で追撃しているというのに一向に距離が縮まらない。それどころかこちらに合わせて距離を一定に保っている様だ。疑念が沸き起こり一瞬で極限まで膨れ上がった。その時だった。
周りから一斉に喚声が轟いた。同時に青地に白い剣の旗を掲げた解放軍が左右から現われた。そして今まで逃げるだけだった前方の解放軍が踵を返してきた。
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