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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十六話 恐れど
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という頃になっても、全く心は癒えた気配が無く、今でも思い出すだけで胸が苦しかったが……ただそれでも、少なくとも彼らのおかげか、あるいは別の理由なのか、「辛かった事だけ」を思い出すことは無くなった。つらかったのと同じくらい、いやそれ以上に、楽しい思い出が千陽美との思い出の中にはあったと思えるようになった事こそが、この部活に入ってから最大の収穫だったと美幸は思っていた。

「それよか部長たちおせーな?」
「あぁ、なんか今日は重大発表があるかも、とか言ってたぞ」
「重大発表?」
勝の言葉に首を傾げる美幸にうなづいて、彼はパソコンの画面を見ながら答える。

「聞いた話だけど、東工大付属の研究会と一緒になんかしようとしてるらしい」
「東工大付属って……」
東工大付属、正式名称、私立東都工業大学付属高等学校。都内に或る、先進技術の宝庫ともされる東都工業大学の付属高校だ。何度かネットを通じて共に活動しているとはいえ、工業系高校としては無類の人気校であるそんな学校と一緒にやる事となると……

「もしかして、ナ―ヴギア関連だったりしてな!!あ、ひょっとするとSAO関連!?」
「えー、それは流石にまさかだろ」
「そのまさかだぞ」
「うわっ!?」
突然入ってきた慶介に、雄介が驚きの声を上げる。その様子に満足したように笑って、慶介は部屋の中に入ってくると、ふいに全員から見える位置に立った。

「よし、全員注目だ!」
「え、部長、そのまさかって……!?」
「部長、重大発表ですか?」
「あぁ!」
興奮した様子で壇上に立つ彼を見ながら、美幸はいつの間にか入ってきていた哲に椅子を寄せて問う。

「あの、一体何が……」
「ん?まぁ、聞いててごらんよ」
「はぁ……?」
首を傾げた彼女に楽し気に笑いかけて慶介を見る哲にますますよく分からなそうな顔をしながら、美幸のそちらに注目する。興奮した様子のまま、慶介は一息に言った。

「なんと、我らPC研究会は、東工大付属のMMO同好会のメンバーと共にSAOログインを目指すことになり、それに伴って、部費で!!ナ―ヴギアを人数分購入できることになりました!!」
「「「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!?!?!!?」」」
予想外の発表に度肝を抜かれたのは、どうやら美幸だけではなかったらしかった。勝と雄介の二人も完全に驚かされている。

「いやほんと、よく通ったよなぁ、俺は絶対無理だと思ってたんだけど」
「無理だと思ったらその時点で無理になる、っていうじゃないか」
「す……すっげぇ部長!!!」
「マジか、ヒーロー部長!!」
「はは、まぁな!はははは!!!」
雄介と勝にせっつかれ、慶介は気分よさそうに高笑いしている。そんな中、美幸は一つ、思っていたことがあった。


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