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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十六話 恐れど
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型の古いデスクトップ式のコンピューターが何台もおかれているのが見える。

「…………」
「けどまぁ、勘違いみたいだし……ホント、ごめんね」
「……あの」
何故、そんな事を言ったのか、今でもよく分からない。昔、自分が好意を抱いていたある少年との繋がりを感じたかったのか、それとも、中学時代には全く縁の無かったものに触れることで、少しでもあの日々から離れようとしたのか……ただいずれにしても、彼女は頭に浮かんだ言葉を口に出していた。

「……私でも、入れますか……?」

────

「よし、じゃあ美幸、初めて見てくれ」
「うー、でもこれホラーゲームなんでしょ……?」
「おう!美幸が苦手なびっくり系要素たっぷりだぜ!」
「だから、なんでそれを私にやらせるの……」
諦めたようにキーボードに向かう美幸を、後ろから期待した目線で朝倉雄介(あさくらゆうすけ)が見ている。自分と同じ年で、緩い校則を良いことに髪を金に染めて先生に叱られたこの小柄な青年は、なぜかやたら美幸が苦手とするホラーゲームを作り、それを彼女にプレイさせたがる。怖がる時の反応が良いとか言っていたが、嫌がらせか何かか。

「うやぁぁっ!?」
「お、やっぱり驚いた!そこタイミング苦労したんだぜ〜」
「もう、もうもうもうもう!!」
悲鳴を上げた美幸に楽し気に笑う雄介に、美幸はぽかぽかと殴りかかる。美幸よりも雄介の方が背が低いので、必然的に頭を殴ることになる。

「いてっ、いてぇいてぇ!!」
「美幸をからかいすぎるからだぞ〜」
「悪かった、わるかったって!!」
逃げ回る雄介を、もじゃっとしたロン毛をした青年がペットボトルの紅茶を飲みながら笑って眺めている。彼……笹川勝(ささがわまさる)も、美幸と同じ一年生だ。このPC研究会のメンバーの一年生は今のところ、美幸、雄介、勝の三人だけだった。
PC研究会は、中学時代の合唱部と比べると、大分緩い部活だったと思う。部活自体がそもそも週に2、3回程度の物だったし、研究会とは言っても、実際の所は文化祭に向けて自作ゲームを作ったり、たまに外部からMMORPGなんかを持ってきてみんなで遊ぶというような、そんな遊び仲間程度のものだ。
とはいえ、メンバーの仲はとてもよかったと今も美幸は記憶している。部長である二年生の大杉慶介、副部長の遠山哲、そして美幸達一年生のたった5人だけの小さな部活だったが、それゆえにメンバー同士のつながりが濃く、まるで兄弟のような気安さがあった。
ただ、慶介と哲がしっかりしているためもあって、女子である美幸に対する配慮だけはしっかりしていたので、美幸からすると、男子が多かった校内の中でここ以上に居心地の良い場所はなかった。
勿論、千陽美の件で受けた傷が癒えたかと言えば、そうではない、高校一年の一学期が終わろうか
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