74部分:血の絆その三
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人は言葉を出せなかった。正にその通りだったからだ。
「だからどうしたというのだ?」
ケンプフが出て来た。傲然と胸を張り何ら臆するところは無いようだ。
「勝者が敗者から戦利品をもらうのは当然の権利だ。それにセリス公子は帝国に弓引く反逆者、何ら非難される謂れは無い」
「し、しかしそれは・・・・・・」
ヒックスの言葉をケンプフは遮る様に言葉を続けた。
「騎士道でも言い出すつもりか?全く無意味な事だな。そんなものが戦においてどれだけ役に立つというのだ?」
「うっ・・・・・・」
怯んだヒックスをケンプフは嘲笑する眼で見下ろした。
場には険悪な雰囲気が漂っていた。ケンプフ達と三姉妹、ヒックスは互いに睨み合い一歩も引かず嫌悪の眼で見合っていた。
「・・・・・・・・・もう止めて」
ティニーの声だった。右手をテーブルにつき左斜め下へ顔を向けている。顔を正面へ向き直した。
「今ここで仲間割れなんかして何になるというの?私達はこれからシアルフィ軍と戦わなくてはならないのよ」
「姫様・・・・・・」
ティニーは更に言葉を続けた。
「今日の軍議はこれで終わります。将軍達はそれぞれ休んで」
「はっ」
敬礼が一斉に為される。ケンプフ達はさっさと天幕を後にし三姉妹はティニーを気遣うように視線を送りながら天幕を後にする。ヒックスは側に控えようとするがティニーはそれを制して天幕の入口に引かせた。
大きな天幕に一人だけとなったティニーは椅子にポツンと座った。両肘をテーブルに付き顎を手の甲の上に置き物思いに耽っている。
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