巻ノ八十一 上田城へその九
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秀忠は数に任せて攻めさせた。すると真田の兵達は下がっていきすぐに大手門まで迫った。その状況を見てだ。
秀忠は笑顔でだ、周りの者達に言った。
「このままいけばな」
「はい、大手門を抜け」
「そうしてですな」
「そのうえで」
「うむ、後はじゃ」
まさにというのだ。
「真田の父子に降る様に言おう」
「大手門を抜けば」
「そこで、ですな」
「大いに攻めて」
「そうしてから」
「降る様に言おう」
秀忠は勝利を感じていた、この流れでいけば勝てるとだ。
その為彼は攻めを急がせた、しかし昌幸はその秀忠の采配を城の櫓からはっきりと見ていた。それでだった。
不敵な笑みを受けてだ、城の者達に命じた。
「よし、自らな」
「大手門を開けてですな」
「そのうえで」
「一気に反撃に転じるぞ」
こう言うのだった。
「よいな」
「わかりました」
「そしてその時には」
「まさに、ですな」
「仕掛けていた策を次から次に出す」
まさにというのだ。
「よいな」
「それでは」
家臣達も応える、そして大手門に殺到する徳川の兵達に対してだった。
門を開いた、これには秀忠も驚いた。
「門を自らとな」
「これは一体」
「どういうことでしょうか」
「わからぬ、しかしじゃ」
それでもとだ、秀忠は周りの者達に言った。
「開いたならな」
「一気にですな」
「中に入りますか」
「そうせよ、そしてそのまま攻め落とせ」
上田城をというのだ、こう話してだった。
秀忠は兵を開いた門に雪崩れ込ませた、兵達も彼の指示に従い突き進むが門が完全に開いた時彼等が見たものは。
「!?あれは」
「まさか!」
見ればだ、開いた門にだ。真田の赤い具足の兵達が揃っていた。しかも彼等の手には鉄砲があった。その鉄砲には既に火が点けられていて。
「撃て!」
この言葉と共にだった、鉄砲が一斉に放たれる。大手門の上そして周りの櫓からもだ。鉄砲が一斉に放たれた。
この射撃で徳川の兵達は次から次に撃ち倒された、秀忠もそれを見て驚いた。
「何と、大手門にか」
「はい、どうやらです」
「城の鉄砲を全て集めた様です」
「また撃ってきました」
「物凄い数ですな」
「ううむ、まさか撃つ為に開くとは」
門をだ、秀忠は驚いたまま言った。
「これが真田か」
「若殿、大変です!」
秀忠のところに旗本が一人駆け込んで言って来た。
「横、そして後ろから敵が攻めてきております」
「何っ、伏兵か!?」
「どうやら」
こう秀忠に答えた。
「その様です」
「何と、伏兵も忍ばせておったか」
「敵の数は少ない様ですが」
それでもというのだ。
「恐ろしい強さの者達です」
「若殿、これはです」
榊原がここで
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