Side Story
少女怪盗と仮面の神父 42
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で、女性騎士の後ろ楯である王族へ
『有望な人材を育てたいのだが、バーデルが不穏な動きを見せ始めている。彼女を中央領で一時的に保護できないだろうか?』
と、鳥を使って申請しており、王族はそれを承諾。
少女は近々、王都からの使者と共に、王城へ召喚される予定だった。
しかし、国境警備隊と自警団が共同で周辺の守りを強化した直後。
何者かによって自宅を荒らされた女性騎士が、少女に迫る危険を察知。
保護者公認で世話役を務めていた神父の唐突な不在もあり、少女の安全を考慮して、女性騎士の仲間と一緒に一旦国外へ身を潜めさせた。
ところが、少女は避難場所でも襲撃され、山荘は炎上。
不審な集団と直に交戦した国境警備隊は全滅。
騎士達は少女の保護に手を尽くしたが、襲撃者の攻撃を避けている間に、少女の友人であるアルフィンを人質に取られ、大森林まで誘導されてきた。
「ま、こんなモンか。ここまで噛み砕けば、さすがに解るだろ?」
「……お父様……」
本人だからこそ知る、明らかな嘘と真実が混じった『筋書き』に。
ミートリッテの顔色が消え失せた。
これは、表向きの『理由』だ。
バーデル側の国境沿いで商人を殺してた集団が突然密入国してきたのは、ネアウィック村にアルスエルナの王族と縁ある一般民が居ると知ったから。
大森林に誘導したのも、アリア信仰の高位に招かれた子供を始末する為。
今度は勝てるかも知れない戦争を再発させる為に、ミートリッテを殺してアルスエルナ王国とアリア信仰を挑発し、バーデルで燻るアルスエルナへの敵意を刺激しようとした。
山荘が焼けたのは、追手を取り逃した国境警備隊のせい。
(山荘を燃やしたのは私だけど、アルスエルナの騎士に護られている王族の縁者がバーデルの所有物に火を付けたなんて醜聞、公表できるわけがない)
「警備隊を、殺したのは……っ」
「お前はイオーネを殺さない。アルスエルナにとっては厄介な火種になると判っていても、殺せなかった。必要な時に必要な決断を下せない領主など、この国には要らない。そういうことだ」
村へ帰りたくて火を放った。
近くに居る誰かが、必ずなんとかしてくれると思って。
でも、バーデルの国境警備隊は……傍に控えたアルスエルナの騎士達は、山荘の内側から昇った炎を、どう解釈しただろうか。
アルスエルナ王国に籍を置く子供がバーデル国内で起こしたぼや騒ぎは、果たして、アルスエルナにとって良い方向に働くだろうか。
(両国の険悪な関係上、良い方向に転がる筈がない。どんな状況であっても実害をもたらした側の弱みに変換されるのが当たり前だ)
生じてしまった弱みを握り潰す手段は、
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