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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 42
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まれても、私の立場なら救い出せる」と言っていたアレだろう。
 ただ、それでどうしてミートリッテが後の大司教(えらいひと)に就任する必要があるのか。取って付けた大出世に何の意味があるのかを知りたいだけだ。此処を履き違えて突っ走ったら、折角の助け舟も泥舟になるんじゃないのか。
 「アルスエルナが不利になる情報を他国に伏せて、一連の事態をとっとと終熄させる。他にどんな料理名が必要だ?」
 「私の就職先! 転職理由!」
 「それはお前への罰だ……とか、端的に言っても納得はしないよなぁ……」
 額を擦りつつ立ち上がるミートリッテを、王子は溜め息混じりに見下ろした。
 「今日……、既に昨日か。昼頃、国境付近に有るバーデルの山荘で、山火事一歩手前の小火騒ぎが起きた。其処にはバーデル軍協力の下、アルスエルナの騎士達に護られたネアウィック村の住民一人が隠されていたが、現在は数名の騎士共々消息不明。一行を監視していたバーデルの国境警備隊員も、全員が斬殺死体となって山中で発見されている。傍らに、血塗れの長剣と銀斧が何本か転がった状態でな」
 「!?」
 ベルヘンス卿と別れた後は誰にも阻まれなかった村への帰還。促されてると感じてはいたが……まさか、あの時点で警備隊は既に殺されていたのか。
 (……え。でも、待って。暗殺組織がバーデルの警備隊を殺した? なんで? 貴重な取引先を自分達で消す理由が何処に……)
 「帰国した騎士の証言によると、護衛対象はアルスエルナの王族を後ろ楯に持つ女性騎士が養っている少女。幼い頃に両親を喪った所為で精神面に多少の難は抱えているものの、労働に対する姿勢や運動神経や勉学の面では非常に優秀。人柄も良いことから村民に愛され、数日前派遣されたばかりの新任神父にも将来性を見込まれていた。が。神父と少女が出逢ったその日、バーデルの軍人が危険な集団の越境を自警団及び村長に報告。ついでにそいつらの捕縛に関する協力を要請してきた為、神父が即日、少女本人には内密で、女性騎士の後ろ楯である王族へ「有望な人材を育てたいのだが、バーデルが不穏な動きを見せ始めている。一時的にでも彼女を中央領で保護できないだろうか」と、鳥を使って申請しており、王族はそれを承諾。少女は近々王都からの使者と共に王城へ召喚される予定だった。しかし、国境警備隊と自警団が共同で周辺の守りを強化した直後、何者かによって自宅を荒らされた同居人が少女に迫る危険を察知。保護者公認で世話役を務めていた神父の急な不在もあり、少女の安全を考慮して一旦国外へ身を潜めさせた。ところが少女は避難場所でも襲撃され、山荘は炎上。不審な集団と交戦した警備隊は全滅。騎士達は少女の保護に手を尽くしたが、襲撃者の執拗な攻撃を避けている間に少女の友人であるアルフィンを人質に取られ、大森林まで誘導されてしまった……。ま、こ
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